平成28年12月 ~ 極寒の北朝鮮から帰国して ~

近衞社長は国際赤十字赤新月社連盟(以下、連盟)会長として12月3日から10日間、北朝鮮を訪問しました。1998年以来2度目の訪朝でした。

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復興住宅に住む被災者を訪問する近衞社長

 北朝鮮では8月末、中国国境に沿った北東部にて70年ぶりと言われる大きな洪水が発生し、死者・不明者500人以上、住宅全壊3万戸、被災者60万人の大災害となりました。連盟は被災者支援のため緊急アピール1千500万スイスフラン(約16億円)を発しましたが、約25%の支援しか得られておらず、近衞社長の訪問は改めて国際社会の関心と支援を促すことが目的でした。
  連盟は北朝鮮に代表部を1995年に開設し、3人の外国人スタッフが常駐しています。今回の洪水被災地は通常外国人には閉ざされている地域ですが、連盟は政府と国連等の国際機関からなる調査団の一員として発災直後に被災地に入りました。現地には朝鮮赤十字会の支部があり、彼らの活躍がなかったら住民の避難誘導、生活支援物資の配布などを迅速にやり遂げることはできなかったとのこと。それから約3ヶ月、避難した人々は、政府による住宅建設が完成するまで、赤十字から受け取ったテントやブルーシート等で雨露をしのぎました。連盟代表は「行動範囲に制限はあるが、被災地を定期的に訪問しており、赤十字の物資が被災者に届いていることを確認している」と述べた上で、「制裁下にある北朝鮮に対して厳しい見方があることは理解しており、赤十字からの資金については、連盟の評価基準を用い特に厳しくチェックしている」とのことでした。

被災地の朝鮮赤十字会ボランティアが、テント生活をしながら救援活動を続けたことを聞き、近衞社長は、東日本大震災や熊本地震の際に被災者でありながらも献身的に業務を続けた日赤職員に思いを重ねました。

 また姉妹社の援助を受けながら朝鮮赤十字会が平壌近郊で行っている給水、植林、養豚、野菜栽培、精米等の事業について「貧しい人のための朝鮮赤十字会の活動は住民から感謝され、支持されていることを実感した」と述べました。朝鮮赤十字会は、防災、救援、保健、水と衛生の活動を統合的に取り組んでおり、李虎林(リ・ホリム)事務総長は今後の目標として、国内の事業資金獲得能力を高めることと、ボランティアを含む支部の組織強化によって自立を目指したいと話しています。

  歴史的な経緯から、日赤と朝鮮半島の二つの赤十字社は戦後の人道問題に深く関与してきました。朝鮮半島に残された邦人の帰国、在日朝鮮人の北朝鮮への帰還、そして在サハリン韓国人の韓国への帰国問題等があり、それぞれに近衞社長自らも関わってきました。

 訪問の終盤には、北朝鮮でナンバー2と言われる金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長と面会し、「国家間の問題は別にして、両国の赤十字の協力があったからこそこれまで多くの人道問題を解決できた。今後もこの関係を進めていくことが大事だ」と伝え、同委員長も賛意を表しました。この会見を締めくくりとして近衞社長は厳寒の地を後にしました。

◆参考記事(外部サイトへ移動)

「大水害に襲われた北朝鮮、厳冬の現地を訪ねて」