奮闘するパレスチナの赤十字~命を守る最前線に立つボランティア~

パレスチナのイメージ

パレスチナの二つの地区(WEST BANK:西岸地区、GAZA STRIP:ガザ地区)

中東、パレスチナ暫定自治区のガザ地区での人道危機は、武力衝突の発生から50日目の8月28日に、無期限の停戦合意に至りました。しかし、現地では依然として継続した人道支援が必要とされています。

今回の事態で生じた死者は約2100人。9月に国連が発表した報告などによると、ガザではいまだ10万人ほどに緊急救援が必要とされ、水や電気などの社会インフラの再建が急務だとされています。

ところで皆さんは“パレスチナ”や“ガザ”と聞くとどんなイメージを思い浮かべますか?砲弾が飛び交う街の様子や負傷した人びとの救援活動など、緊迫した場面が目に浮かぶ方は少なくないのではないでしょうか。

もちろん、海外や日本のメディアが報じるこの地のイメージの大半がそうしたものであることは事実ですが、逆に、停戦合意が成立してからパレスチナが取り上げられる頻度は少なくなりました。

そこでここでは、同地の人びとのいのちと健康を支えるパレスチナの赤十字に相当する、パレスチナ赤新月社の視点から、今回の人道危機を改めて見つめ直してみます。

パレスチナ赤新月社~パレスチナでも有数の組織~

パレスチナ暫定自治区の人口は約450万人。西岸地区とガザ地区という2つのエリアで構成され、それぞれに約280万人、約170万人が居住しています。面積は、西岸地区が三重県と同程度、ガザ地区が東京23区の約6割程度の広さで、今回の人道危機はこのガザ地区を中心に生じたものです。

現在、西岸地区中部にある都市ラマラ(Ramallah)に10階建ての巨大な社屋を持つパレスチナ赤新月社は、もともとはヨルダンのパレスチナ難民キャンプで医療を提供する小さな診療所でした。赤新月社として正式に事業を始めたのは1968年で、1969年のパレスチナ国民議会で、パレスチナの人びとの健康や安全と社会サービスを提供する責任を与えられています。

今日まで同社は、パレスチナ保健省と地域のNGOとともにパレスチナ自治区内での活動を継続するほかに、エジプト、レバノン、シリア等の国でパレスチナ難民の支援活動を展開しており、約4000人の職員を有するパレスチナでも有数の巨大組織となっています。

いのちを救う最前線に立つボランティア

西岸地区ラマラにある巨大なパレスチナ赤新月社

パレスチナ赤が展開する主な事業には医療や社会福祉、災害救護、ボランティアの育成などがあり、中でも高い能力を発揮しているのが、今回の人道危機でも活躍を見せた緊急医療サービス。

日本では消防署による救急搬送(救急車)にあたるサービスを、パレスチナでは同社が一手に担っています。

パレスチナ自治区内に点在する約40カ所の救急コールセンターと、全地球測位システム(GPS)で所在地が常に管理されている約140台の救急車により、24時間体制で医療サービスを提供しています。

ガザで救援活動にあたるパレスチナ赤新月社のボランティア

さらに特筆すべき点は、こうした救急医療サービスを担うスタッフの中にボランティアが関与していることです。

ボランティアは、パレスチナ赤新月社内に設置されている緊急医療研修所で、応急処置や緊急医療などの専門研修を受講した上で、救急医療チームの一員として活躍しています。

悲しむべきことに、今回の人道危機では2人のボランティアがガザでの活動中に命を落としています。日本人がイメージするボランティアのイメージとはかけ離れた過酷な現実の中、彼らはいのちを救う活動に奮闘しています。

パレスチナのボランティアは、何も緊急医療に限らず、パレスチナ赤新月社のあらゆる事業に何らかの形でかかわりを持っており、その数はパレスチナ全土で約2万人に上るといわれています。こうしたボランティアをはじめ、現在も600人近くのパレスチナ赤新月社や国際赤十字のスタッフが同地での人道支援活動に奮闘しています。

メディアではあまり報じられることのない戦火が止んだ今こそ、一人ひとりのいのちを守り、日常を取り戻す活動の本当の始まりです。

同じ赤十字・赤新月の名の下に、パレスチナの地で命がけのボランティア活動に励む人びとへの支援に、どうかご理解とご協力をお願いします。

振り込みに関するご連絡先

日本赤十字社 組織推進部 海外救援金担当

TEL:03-3437-7081 FAX:03-3432-5507

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