シリアで『中立』を守り続ける人道支援 ~世界人道デーによせて

8月19日は世界人道デーです。

「赤十字が敵味方の区別なく全ての人を救うためには、組織の中立性が要となってきます。中立とは、紛争から遠ざかり、当事者とも距離を置く、といった回避的・消極的な姿勢ではなく、犠牲者へのアクセスを確保する目的で、全ての関係当局 ・勢力と平等に接し、話し合い、信頼されるための手段です。政治的介入は一切行わず、人道に則った行動を繰り返し説きます。政府側にいる人、反政府側にいる人、双方の下へ安全に駆けつけて初めて、私たちは支援や保護が提供できるのです」

(赤十字国際委員会駐日事務所ウェブサイトより)

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救援物資を運ぶシリア赤のトラックの列
©Ibrahim Malla/IFRC

2011年から紛争状態が続くシリア国内では、シリア赤新月社(以下、シリア赤)のボランティア3000人が救援活動を行っています。

シリア全土にわたって14の支部を設け、政府勢力下にある地域においても、反政府勢力下にある地域においても同様に、そこで暮らす人びとに対して人道的な支援を行っています。

反政府勢力下の地域へ物資を運ぶ際、いくつもの検問所を通過する必要があります。シリア赤の中立性が両勢力に高い評価を受けていることにより、トラックが襲撃を受けることなく、安全に届けることができます。

一方、シリア国内での人道支援活動中に殉職した赤十字スタッフ・ボランティアの数は53人に上っており、人道支援活動を行う人たちが危険にさらされています。

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アレッポ大学病院でがんを治療中の子どもたちとお絵かきをしながらこころのケアを行うシリア赤ボランティア。簡単に国外に避難できない状況の人も多い ©Ali Keblawi/シリア赤

シリアでは、2012年に2280万人いた人口が2014年には1760万人に減少しています。

紛争で亡くなった人の数は20万人以上、負傷者は100万人以上で、400万人が国外に難民として逃れています(2015年8月11日現在、国連調べ)。

人口1760万人のうち1220万人が支援を必要とする状況にあり、760万人が国内避難民、480万人が支援を受けることすら困難な状況に隔離されているとしています(2015年7月7日現在、国際赤十字・赤新月社連盟調べ)。

また、国内の公立病院のうち45%が損害を受け、90%の企業が閉鎖しており、市民生活に必要な機能が働かない状況が続いています(国連調べ)。

シリア国内620万人に届いた人道の心

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シリア国内のハサカ、アレッポ、ダマスカス、ダラア、デリゾール、ハマ、ホムス、イドレフ、ラタキアやダマスカス郊外の各地で2015年1月から3月にかけて、紛争が激化しました。

このような厳しい状況の中でシリア赤は、国内に残る人びとが生活できるよう、食料や救援物資の配布、給水、衛生キットの配布や指導、診療所の運営や応急処置、巡回診療、こころのケア、拘留所の訪問や離散家族の支援実施。

2012年から2015年4月までに、620万人に支援を届けることができました。

診療所の様子.JPGのサムネイル画像のサムネイル画像

パレスチナ難民の多く住むダマスカス郊外子どもたちに
お菓子を配布 ©Ali Keblawi/シリア赤

巡回診療の様子.JPGのサムネイル画像

避難所でのこころのケア ©Afaf Mirzo/シリア赤

現地では、紛争状態が依然として続いており、通常の生活は取り戻せていません。赤十字は引き続きシリアと周辺国における人道危機に対する救援を行います。

皆さまの温かいご支援と協力をお願いいたします。

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TEL:03-3437-7081 FAX:03-3432-5507

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中立(Neutrality)・・・

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『中立』Neutrality

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