私たちができること:中東へ届け!小学生の募金活動

新潟県新発田市立中浦小学校の6年生が2015年11月、中東人道危機救援への街頭募金活動を行い、集まった募金を日本赤十字社(以下、日赤)にご寄付くださいました。子どもたちは、青少年赤十字(※1)の『国際理解』の授業を契機に、国際問題について学習を深めてきました。その過程で、募金活動を子どもたちが自ら発案し、主体的に企画・準備を進め、実施しました。その報告が届いたのでご紹介します。

人のために何かできることはないか(6年生Aさんの作文より)

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スーパーマーケット前で街頭募金を呼びかける小学生たち

私たちはひたすら叫んで訴える。誰もいなくても、人が来るまで叫んでいた。今日は地域のスーパーマーケットでの募金活動。「募金お願いしまーす」あちこちから声が飛んでくる。初めにしてはみんな声も出ていてよかったと思う。

ポスター担当の人たちは人に見えるよう方向を変え、チラシ配りの担当の人たちは積極的に渡し、募金箱担当の人たちは笑顔でやっていた。みんな手応えはあったようだ。

(略)私は張り切って人がいたら片っ端からチラシを配ればいいと思っていた。しかし、私は実に浅はかだった。チラシを配っても「いや、いいです」とか、ジェスチャーで「いらない」とやってくる人もいた。私は悔しかった。でもめげたらおしまいだから、悔しくても我慢して叫び続けた。そうしたら、あっというまに交代する15分間が経っていた。びっくりしたけど、時間を忘れるくらいがんばったんだと思い、調子が出てきた。

(略)いろいろな人から励ましの言葉など言ってもらった。私はうれしかった。また、ある人は「小学生ががんばっているんだもん。募金しなきゃね」など言ってくれた。がんばりが伝わっているんだと思いうれしかった。いつの間にか悔しさより、うれしさが勝っていた。

(略)募金してくれた方がたにもとても感謝している。このお金で世界を少しでも救えるなら、これ以上の喜びはないと思う。

「苦しんでいる人のため」が、「自分の喜び」に(6年生担任より)

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街頭募金の準備(ポスター作製)をする小学生たち ©中浦小学校

紛争地域の状況を知っても、「誰か助けてやる人はいないのか」「日本に生まれてよかった」など他人事としかとらえることができなかった子どもたち。

しかし、話し合いと学びの振り返りを重ねるうちに、「自分たちにできることはないか」と考え始め、やがて募金活動を発案するようになりました。

初めての募金活動は大成功。子どもたちは「自分たちにも紛争地域の人びとを支援できる」と実感したようです。その後の数回の募金活動でも「がんばっているね」と声を掛けられるなど、子どもたちにとっては充実感と達成感を伴う活動となりました。

「苦しんでいる人たちのため」に始めた募金活動ですが、学びを重ねるうちにそれが徐々に「自分の喜び」に変わっていきました。子どもたちには、やりがいと誇りを感じながら自分たちで社会をつくっていく能力、そういった社会形成能力・意欲を身につけてほしいと考えています。

募金贈呈式(6年生Bさんの作文より)

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募金贈呈式後に小学生たちと記念写真(写真中央:日赤新潟県支部佐藤正明課長)

沸き立つ拍手の中を日赤新潟県支部の職員が通っていく。今日が、募金が渡される日なのだ。私たちと募金をしてくれた人の思いが渡される日。

私は、式の中で友だちが話す活動報告を聞きながら学んだことを思い返していた。国際理解教室から始まり、総合的な学習の時間で戦争や紛争で苦しんでいる人がいることを知り、苦しんでいる人たちを助けたいと思った。

(略)最初は不安だった。どういうふうに呼び掛けたり、協力をお願いしたりしたらよいのか分からなかった。ちゃんとできるかも不安だった。そんなふうに募金活動は始まったのだ。

そして、メインとなる募金の贈呈。代表の人たちから日赤職員に手渡された募金は、苦しんでいる人たちのために使われる。私たちの集めた募金で世界の苦しんでいる人たちを少しでも救えるのなら、とてもうれしい。私たちや募金してくれた人たちの気持ちも届いてほしい。苦しんでいる人たちが少しでも安心して生活できたらと願っている。

シリアに届いた思い

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日赤からの支援による「こころのケア」プログラムで遊ぶシリアの子どもたち ©IFRC

皆さまのご寄付による支援を受けた子どもたちの写真が先日、日赤に届きました。

紛争下のシリアには、親や友だちを亡くしたり、爆撃のすさまじい音を聞き続けたり、悲惨な現場を目の当たりにし、心に傷を負った子どもたちが多くいます。

シリア赤新月社(※2)はこのような子どもたちのこころのケアのために、学校や避難所で、ゲームなどを楽しめる活動を行っています。体を動かしたり、笑うことで、こころの不安や恐怖を少しでも忘れて、元気に過ごせるように工夫されています。

長期化する紛争下のシリアで、こころのケアの重要性はますます高まっています。

  • ※1 青少年赤十字は、3つの態度目標「気づき」「考え」「実行する」を礎として、「学校生活や日常生活の中で、いのちの大切さを学び、思いやりの心と自主自立の態度を自ら育むこと」を目的に、全国各地で活動しています。
  • ※2 赤新月社=イスラム圏における赤十字社

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