安全を求めて移動する人びとへの人道支援

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沿岸に到着した子どもを保温シートで包む、ギリシア赤十字社のボランティア

トルコの海岸に打ち上げられたシリアの3歳の男の子の遺体の痛ましい映像が昨年9月、世界を駆け巡りました。

今年に入り、ギリシア沿岸で、冬の海を渡ってきた子どもを含む3人が低体温症により死亡するという事故もありました。

安全な地を求めてヨーロッパにたどりついた人びとは全体で昨年1月から100万人以上に上るとみられ、人道的な支援を必要としています。

それに応え、移動ルートとなっている国々では、各赤十字社がさまざまな支援を行っています。

人道支援を支えるボランティア

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© Caroline Haga/IFRC

ギリシアの島々には今も毎日1800人以上が到着。

ギリシア赤十字社は、寒い海を何時間も何日もかけて渡ってくる人びとを救護。着の身着のままたどり着いた人びとの体をまずは温かい毛布や防寒具で温め、体調の悪い人を診療します。

水や食料、衛生用品などの配布でもボランティアが活躍し、活動を担っています。

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© Caroline Haga/IFRC

ボランティアのゲオルギアさん(25)は「ボランティア活動は私にとって特別なものなのです」と言います。

職業は幼稚園教諭ですが、すでに6年間、ギリシア赤十字社でボランティア活動を続けており、現在はイドメニの一時滞在センターの救護所で活動しています。

各国赤十字社の連携と協働

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© German Red Cross

ドイツ赤十字社は、国際支援としてギリシアやマケドニアでの人道支援をサポートする一方、国内でも470カ所以上の一時避難所に14万1000人以上の難民を受け入れています。

2万人を超えるボランティアや職員が動員され、医療支援やこころのケア活動を行い、離散した家族が互いに連絡を取れるように支援しています。

また、政府の補助機関として設置・運営している二つの難民キャンプでは、デンマークをはじめとする北欧各国や北米の赤十字社8社と赤十字国際委員会(ICRC)がボランティアや職員を派遣したり、物資協力を行っており、赤十字の国際ネットワークがこのキャンプを支えています。

安全な地を求めて移動する人びとをそのルート上すべてで支援

赤十字は、難民の出身国や通過国、最終受入国のすべてで活動している数少ない団体の一つです。

多くの人びとが通過するマケドニアでは、南北の国境地点で一時滞在のためのシェルターを運営、厳しい寒さに対して温かいスープやお茶を提供するほか、物資支援や離散家族のための支援を行い、11の移動医療チームが24時間体制で診療にあたっています。

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© Caroline Haga/IFRC

マケドニアの一時滞在キャンプで列車を待つ8歳と3歳の姉弟は、これからオーストリアにいる15歳の兄と合流する予定です。

彼らの父親は「家族に安全な生活をさせてあげたい。シリアでは元々何でもそろっていましたが、戦争のせいですべてを失ってしまいました」と言います。

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© Caroline Haga/IFRC

シリア出身のアブドゥラ医師は一時滞在キャンプで、医療チームの一員として活動しています。

「私もシリア出身と知ると、しばしば患者の感情が高ぶり、抱き合って一緒に泣くこともあります。患者に寄り添うために、精神的につらい仕事ではありますが、ここに残り、人びとを助ける決断をしたことに、今も悔いはありません。私も、いつか母国に帰ることを夢見ています」

国際赤十字は総計80億円を超える緊急支援を呼び掛けるアピールを発出して 、支援を必要とする人びとをサポート。これまでにヨーロッパ計28カ国で推計7万4000人のボランティアが活動し、60万人以上の人びとに対して支援を行っています。

日本赤十字社もこれまでに2000万円の資金援助を行っています。

中東人道危機救援金を受け付けています

振り込みに関するご連絡先

日本赤十字社 組織推進部 海外救援金担当

TEL:03-3437-7081 FAX:03-3432-5507

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