毛布に託された一人ひとりの想いが届くまで

オンワード・グリーン・キャンペーンと日本赤十字社のコラボ

「オンワード・グリーン・キャンペーン」コラボ

アパレルメーカーの株式会社オンワード樫山は、衣料のリサイクル・リユースを通じて衣類循環システムの構築をめざす「オンワード・グリーン・キャンペーン」を2009年から実施しています。廃棄ゼロの目標を掲げ、お客様が着なくなった自社製品(衣料品)を回収し、固形燃料やリサイクル毛布などとして再活用する取り組みです。これまでに、34万人を超える方がたから190万点近い衣料品が提供され、2万5500枚の毛布などに生まれ変わりました。日本赤十字社(以下、日赤)は、2010年からこのキャンペーンとのコラボを開始。東日本大震災で被災した東北地方をはじめ、中国やモンゴル、ベトナムといった世界中の被災地や途上国に、日赤を通じて毛布が贈られてきました。衣料品を提供してくださった方がたからは、「自分の不要な服が海を渡り、困っている人の役に立つことに感動した」という声が多く寄せられます。そんな沢山の温かい気持ちが、実際に毛布を使う人びとの手に届けられるまで。今回の赤十字国際ニュースでは、その様子をお届けします。

昨年4月、大地震に見舞われたネパール

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見渡す限り山が連なるネパールの山間部。集落が点在し、未
舗装の細い道が続いている。

ネパールは、北は世界最高峰のヒマラヤ山脈から南はインド国境沿いの平野まで、狭い国土の中に急峻な地形が凝縮された国です。国土の約8割を占める山岳地帯では、急な斜面に農地や棚田が広がり、点在する集落を結ぶように、曲がりくねった細い山道が続きます。2015年4月25日にネパールで発生した大地震は、こうした山間部の集落をも襲い、死者8857人、全半壊家屋88万戸という甚大な被害をもたらしました(2016年4月現在、国際赤十字・赤新月社連盟発表)。地震発生直後、日赤は最も被害が深刻だった地域の一つ、シンドパルチョーク郡に医療チームを派遣して緊急救援にあたりました。そこではアクセスの悪さから、支援に取り残された村々を目の当たりにしました。現在、日赤は緊急救援に引き続き、シンドパルチョーク郡を中心に復興支援にあたっていますが、アクセスの問題が常に立ちはだかります。一人ひとりに確実に支援を届けるために、現地に派遣されている日赤職員は、地域住民とのきめ細かい対話に努めています。

被災者の手に毛布が届いた瞬間

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険しい山を越え毛布を積んだトラックが到着!

オンワード・グリーン・キャンペーンから寄贈された毛布を積んだトラックが、2016年2月末、シンドパルチョーク郡のタンパルダップ村に到着しました。大勢の住民が集まり、配付に立ち会うために同行した日赤職員をあたたかく歓迎してくれます。ネパール赤十字社の支部長からキャンペーンの趣旨などが説明されたあと、一人ひとりに手渡しで毛布が配付されました。

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日赤職員の手から無事手渡されました

地震発生から1年が経過し、復興に向けて歩みを進めているものの、現地の人びとの暮らしは今なお厳しい状況です。特に、標高の高いネパールの山間部は、冬は厳しい寒さにさらされます。今回配られた毛布は、人びとをあたたかく包むだけでなく、優しいぬくもりも届けたに違いありません。

支援を寄せてくださる方とそれを受け取る人びととの懸け橋に

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毛布を手にした女性から笑顔がこぼれる

オンワード樫山のメンバーズ推進・環境経営部の山本課長代理は、「毛布一枚に、日本国民の温かい気持ちが詰まっています。今後もこの事業を通じて、一人でも多くの方に支援を届けたいと思います」と語ります。オンワード・グリーン・キャンペーンのキャッチフレーズは、「あなたのオンワードの服が、『希望をつなぐ毛布』に」。その託された一人ひとりの気持ちと優しさが、本当に支援を必要としている方がたに確実に届けられるよう、日赤は、現地の赤十字社と協力しながら、きめの細かい支援を目指します。また、支援を寄せて下さる方がたとの懸け橋となるべく、これからも現地の声を日本に届けてまいります。

~赤十字は、企業とのパートナーシップを推進し、皆さまのご支援を最大限に活かして社会的・人道的課題に取り組んでいきます。引き続きご支援・ご協力をお願いいたします。~

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