同じ志を胸に~次の人道活動を担うのは私たち!

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497人、これは日本赤十字社の海外派遣要員として現在登録されている医師・看護師・事務職等の数です。毎年、海外で救援活動に携わりたいという熱い思いを持つ人びとを集め、新たに登録要員になるための研修を行っています。

今回の国際救援・開発協力要員研修(英語ではInternational Mobilization and Preparation for Action (IMPACT))が今年も2016年6月24日から6日間、東京都内で開催され、日本各地の赤十字病院や、ネパール、バングラデシュ、ハンガリーなどから集まった29人が、経験豊かなファシリテイターとともに、熱い議論を展開しました。

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World of Red Cross (WORC)*そしてStay Safeと呼ばれる、ウェブ学習を済ませた後集まった参加者は、グループワーク、ロールプレイ、クイズ、事例研究など、さまざまな方法で知識を吸収していきます。また、架空の国での災害と紛争状況のシナリオに基づき、救援活動のシミュレーションに丸一日を費やします。シミュレーションを行うことで、調整・交渉の難しさ、現実には座学で学んだ知識や理想通りには事が運ばないことが体感できます。

6日間で扱う内容は、赤十字の成り立ち、各国赤十字・赤新月社や本部間での連携方法、国際人道法、赤十字の7原則、メディア対応、チームワークに必要な要素、個々人の安全管理、ストレスマネジメント方法、すでにフィールド経験がある先輩からの体験共有など盛り沢山です。これらを通じて、赤十字の現場で働く要員としての基本的な心構えを身に付けることが狙いです。

名古屋第二赤十字病院から参加した米川医師は「内容は難しいけれど、楽しみながら学ぶことができた」と感想を述べ、桂川看護師は「普段の仕事現場とは違い、さまざまなバックグラウンドを持つ参加者とのコミュニケーションから学ぶことが多く、海外の現場へ飛び出したいというモチベーションが高まりました」と話してくれました。

各国の赤十字・赤新月社から国際的な救援・開発協力現場に派遣される人材はすべてこのIMPACT研修を受けており、世界中で過去30年150,000人以上が赤十字要員として育成されています。今回の研修の修了者は今後、突発的な災害に対応する医療チームや、復興・開発協力事業に携わる要員として現地で活躍が期待されます。

* World of Red Cross (WORC) は赤十字の活動に携わるボランティアや職員、誰もが受講できるオンライン研修です。