アフリカで命をつなぐ食糧支援

2015年から2016年にかけてアフリカを襲った過去最強レベルのエルニーニョ現象は、東部・南部アフリカを中心に深刻な食糧不足などの被害をもたらしています。国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)によると、この気候変動の影響を受けている人々は約4000万人にのぼり、そのうち2300万人が緊急支援を必要としています。

今回、アフリカ大陸の南部に位置するマラウイを訪れ、現地の様子を取材しました。飢餓に立ち向かう住民と、命をつなぐ食糧支援プログラムを提供するマラウイ赤十字社の活動についてお伝えします。

洪水と干ばつに見舞われたマラウイ

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干ばつの被害が広がるマラウイの大地©IFRC

昨年の「海外たすけあい」募金キャンペーンの一部が食糧支援事業に活用されているマラウイは、2015年1月に発生した激しい洪水と2016年2月の干ばつが引き起こした大規模な穀物の不作により、国民の4割にあたる650万人が食糧不足の危機に立たされています。

マラウイの国民の多くは、自給自足の農民ですが、この食糧危機のために、備蓄していた食糧も底をつき、市場で食料を調達しなければいけない状況となっています。一方で、穀物価格も高騰しているため、国民の生活はますます追い詰められる結果となっています。そういった状況は子どもたちの健康にも深刻な影響を及ぼしており、5歳以下の子どもたちの急性栄養不足が増加しています。

子どもたちの命をつなぐ「給食プログラム」

この危機的な状況に対応するため、マラウイ赤十字社は国民の飢餓状態を改善する様々なプログラムを実施しています。このうち、学校で子どもたちに食事を提供する「給食プログラム」は、学校と地元のボランティアらが運営し、朝から子どもたちのためにおかゆをつくり、提供しています。子どもたちはきちんと手洗いを終えてから、整列して順番におかゆを受け取ります。

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給食のおかゆをほおばる子どもたち ©Ichigo Sugawara

マラウイでは、もともと子どもたちの学校の中退が問題となっていましたが、この食糧不足がより事態を悪化させました。それまで1日3食だった食事が1食になってしまった世帯も多くあり、食べるものが十分手に入らない世帯では、仕事をするために学校を辞める子どももいます。

マラウイ赤十字社が実施する「給食プログラム」によって食事をとる子どもたちの中には、配給される給食が1日の中で唯一の食事をとる機会になる子もいます。また、子どもが学校で食事をとることができるようになったことで、子どもの食事を給食でまかなえることから、親が子どもを学校に通わせやすくなり、登校者数の増加にもつながっています。

飢餓に立ち向かう力に変える「現金支給プログラム」

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エネゲス・ベネフットさん ©Ichigo Sugawara

マラウイ赤十字社は、被災者が食糧など必要な物資を購入するための現金を支給する「現金支給プログラム」も実施しています。

1歳の子どもを抱えて10km離れた村から歩いてこのプログラムに参加したエネゲスさんは、「現金支給プログラムによって食糧を買うことができ、ようやく空腹のまま眠りにつかずにすみそうです。洪水と干ばつに襲われた村での生活は苦しく、夫の収入も十分ではありません。赤十字の支援は、穀物といった食べるものも買えるほかに、せっけんや生活に必要なものも買うことができます。支援が続けば貯金をしてヤギを買い、ヤギを飼育して現金収入を得る手段にしたいと思います。」と、語ります。

「現金支給プログラム」は、被災者それぞれが必要なものを買うことができ、また、洪水や干ばつに備えるための自立を後押しする役割も担っています。

私たちができること

日本ではメディアの注目がほとんど集まらない紛争や災害にも、赤十字は世界190の国と地域に広がるネットワークをとおして、地域に根差した継続的な支援を行っています。  

こうした人々へ支援を届けるため、今年も「海外たすけあい」募金キャンペーンを実施しています。今年の「海外たすけあい」では、世界の苦しんでいる人の現状を「自分ゴト」として捉えるため、支援の現場を疑似体験できるバーチャル・リアリティ(VR)の動画を配信しています。マラウイの様子や赤十字の支援活動の様子もご覧いただけます。詳しくは日本赤十字社「海外たすけあい」ページをご覧ください。  

世界のどこかで苦しむ人へ。「自分ゴト」として捉える想像力に、たすけあいの気持ちを添えた皆さまのご協力をお願いします。

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■世界災害報告2016『レジリエンス:今この命を救い、未来に投資する』発刊
連盟はこのたび、『世界災害報告2016』を発行しました。世界災害報告は

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毎年連盟が発行しているもので、その年ごとの災害対応の最新のトレンドにフォーカスを当てています。                                                                今年は、人道支援を必要とする人が第二次世界大戦以降過去最大となっている現状に対し、レジリエンスの強化、すなわち地域社会の対応力の強化をテーマとしています。                            ※全文(英語)は、こちらのホームページ上でどなたでも閲覧することができます。