防災週間特集:今、求められる草の根の防災支援

本年8月30日(水)から9月5日(火)にかけて、日本では防災週間となっていることを皆様はご存知でしょうか。本稿では日本赤十字社(以下、日赤)が行う草の根の防災事業を取り上げ、「防災の今」をご紹介いたします。

世界中で猛威を振るう自然災害

南アジアでは、8月中旬から降り続いた大雨の影響で洪水や土砂崩れなどが相次ぎ、インド、バングラデシュ、ネパールの3カ国という広範囲で既に1000人以上の死者が確認されています。交通インフラへの被害などにより支援から取り残された地域の存在や、衛生環境の悪化による感染症の拡大が懸念されています。

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一方、アメリカ南部テキサス州に8月25日に上陸したハリケーン「ハービー」は、被災者数45万人超とも言われています。多くの人々が避難生活を余儀なくされ、石油関連施設が操業停止となるなど経済的損失の暗い陰を落としています。

日本に暮らす私たちにとっても他人事ではなく、国内での備えを急ぐとともに、過去幾度となく経験してきた災害に関する知見を世界にも普及する必要があります。

事前の備えの大切さと防災の主流化

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住民らが村に流れ込む水をせき止める経路を建設する様子(インドネシア・テルク村)

東日本大震災は、多くの人々の命と生活を犠牲にして、癒えない爪痕を残していきました。そして、先進技術国の日本ですら、自然災害に抗うことができないことを突き付けられ、人が常に災害と隣り合わせに生きていること、人々の命と健康と尊厳を守るために大切なことは「地域の力」と「事前の備え」だということを、私たちは再確認しました。世界的にも事前投資には消極的だったかつての風潮から、防災を優先課題として全ての開発計画に防災を取り入れることを謳った「防災の主流化」という認識が醸成されつつあります。

貧困と災害弱者、防災の関係性

途上国での防災の大切さは、しばしば貧困との強い関係性があります。貧困層の居住区は必要なインフラが整備されていないことや氾濫河川に隣接するなど、災害に脆弱な傾向にあります。災害は無情にも、社会的に弱い立場に置かれる人々の生活を真っ先に奪うものです。中でも子どもや妊産婦、障がいを持つ人々などが最も弱い立場に置かれ、度重なる災害の影響で家や財産を失い、生計基盤も安定せずに貧困の連鎖に陥ってしまいます。

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(左)衛生環境の大切さを伝える壁画と子供たち(ネパール・グルミー郡)(中央)妊婦の避難訓練と赤十字ボランティア(インドネシア・カウラ県)(右)地域住民の作成した防災マップ(ネパール・ウダヤプール郡


日赤は防災・減災で救うことを、つづけます

日赤の支援地であるインドネシアのベンクル州は貧困層が人口の17.3%を占め、およそ653の村が州内でアクセスの困難な孤立した地域です。また、ネパールでは国全体の貧困層が人口の25.2%を占め、根強く残るカースト制度や頻発する季節的な災害の影響が貧しさを助長しています。その日を暮らしていくことに精一杯の人々が、農作期などの多忙な時期や宗教上の祭日などを避けつつ、絶えず防災の意識を持ち続けることは容易なことではありません。

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地面に地図を描いて地域のリスクを洗い出す住民ら        (ネパール・トックダン村)

だからこそ、子どもや妊産婦など最も弱い立場に置かれる人々を住民主体の防災計画に反映させる努力が両国で行われています。日赤は世界中に張り巡らされたネットワークを利用し、世界の小さな村の赤十字ボランティアや、地域とともに草の根の防災活動を支えます。事前の備えの大切さを知る私たちだからこそ、日赤は日本に暮らす人々の災害とともに生きる強さと温かい支援の気持ちを結集し、遠い外国の地の人々の防災を草の根で支え続けます。

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