防災・減災をつづける

「災害に備える」と聞いて、皆さんは真っ先に何を思い浮かべるでしょうか。災害と隣り合わせともいえる日本では、災害の恐ろしさも、事前に備えておくことの大切さも、長い歴史の中で身をもって学んできました。その一方で、災害の記憶というものは時にたやすく風化してしまうことを、私たちは同時に知っています。日本赤十字社(以下、日赤)では、人々の生活に「防災・減災」を根付かせるための地道な努力を、国内外で続けてきました。開発途上国では、インフラ整備が脆弱で、政府の防災対策が行き届いていない地域が未だ数多く存在しています。今回の国際ニュースでは、日赤が2012年から支援しているインドネシア・コミュニティー防災事業について現地を視察した兵庫県支部の重森彩花主事と、神奈川県支部の原田康生主事のリポートをご紹介します。

インドネシアで地震と津波のリスクに備える

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インドネシア赤十字社との意見交換に臨む重森職員(右)

日赤が支援するコミュニティー防災事業は、住民が中心となって、災害に対応できる知識と能力を身につけることを目指しています。インドネシアのスマトラ島ベンクル州では日本のような行政主導の大規模な災害訓練を行うことは少なく、学校での防災教育もあまり盛んではありません。日赤の取り組みにより、住民一人ひとりが自然災害だけではなく、あらゆる災害リスクに対処する能力を身につけることが命を守ることに繋がっています。


阪神・淡路大震災の経験を伝える

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自らの被災経験と日赤の取り組みを紹介

 現地の大学生に阪神・淡路大震災について講演する機会がありました。講演を聞いていた学生たちも、私が震災を経験した年齢と同じくらいの時期にスマトラ島沖地震を経験していました。日本とインドネシアという国が共通の災害リスクに対処していかなければならないことを改めて思い起こされました。「過去を風化させることなく、教訓は未来へと引き継がれていかなければならない。」講演後には、日赤の防災に対する取り組みや講演への感謝とともに、日本での防災対策や学校における防災教育などについて高い関心が示され、活発な意見交換がなされました。

赤十字の世界性

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現地ボランティアと原田職員(中央・右)

現地の村々を訪問すると、防災活動の中心で活躍するボランティアの方々に出会います。主に村の女性を中心として組織された地域ボランティアや、100時間を超える研修を経てメンバーとなることができる救護ボランティアなど、赤十字の人道支援はどこの国でもボランティアを中心として支えられています。




海外の知見と国内の知見の融合を

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日本での救護活動を紹介した上で、多くの質問を受ける

日本は東日本大震災等の大規模災害を経験してきました。全国的に救護活動を展開し、被災地の復興支援を長年にわたり携わってきた日赤に対し、インドネシア赤十字社や現地の人々は、「少しでも防災のノウハウを得たい」と大きな期待を寄せています。彼らの熱心な姿勢に感銘を受けるとともに、彼らから学ぶこともまた多いと私は感じています。日赤の防災体制の構築や「防災教育事業」の展開に活かしていきたいと考えています。


日赤は防災・減災で救うことを、つづけます

日赤の支援地であるインドネシアのベンクル州は貧困層が人口の17.3%を占め、およそ653の村が州内でアクセスの困難な孤立した地域です。
 日赤は世界中に張り巡らされたネットワークを利用し、世界の小さな村の赤十字ボランティアや、地域とともに草の根の防災活動を支えます。事前の備えの大切さを知る私たちだからこそ、日赤は日本に暮らす人々の災害とともに生きる強さと温かい支援の気持ちを結集し、遠い外国の地でも人々の防災を草の根で支え続けます。



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