バングラデシュ:あれから一年、つづく避難民の苦難、そして赤十字の取り組み

2018_Bangladesh_camp_SM_03.JPGのサムネイル画像

1平方キロメートルあたり6万人が住む避難民キャンプ© Saara Mansikkamäki / Finnish Red Cross

2017年8月25日にミャンマー・ラカイン州で発生した暴力行為を逃れ、隣国バングラデシュに避難した人々※の数は70万人以上にのぼり、以前からの難民20万人とあわせ、アジアで最大の人道危機となっています。
あれから一年。避難民の人々を取り巻く環境はいまだ厳しく、また彼らを受け入れている地元コミュニティにも大きな負担をもたらしています。現地では雨季が続いており、山が切り開かれ竹とビニールシートのみの簡素な仮設テントが密集して広がる避難民キャンプに暮らす人々のうち24万人以上が土砂崩れや洪水の危険性にさらされていると報告されています(国連報告)。

 ※国際赤十字では、政治的・民族的背景および避難されている方々の多様性に配慮し、『ロヒンギャ』という表現を使用しないこととしています。

 

赤十字のこれまでの取り組み

榊本薬剤師 (1).JPG

日赤は4万3千人以上を診療、4万人以上のこころのケアを行いました

国際赤十字・赤新月社連盟(以下「連盟」)は、事態の深刻さから、20万人を対象とした医療、母子保健、こころのケア、シェルター、救援物資、安全な水と衛生、食料などの支援活動を実施しています。この1年間、現地のバングラデシュ赤新月社を中心に、連盟と各国赤十字・赤新月社25社が協力し、25万人以上の人々に安全な水や食料などの緊急援助を届けました。さらに、避難民キャンプ地域で唯一24時間対応で救急患者を受入れ外科手術のできる救急病院として機能している赤十字のフィールド・ホスピタル(野外病院)ではこれまでに約3万人が治療を受けています。

日本赤十字社(以下、日赤)は、連盟の要請に基づき、2017年9月からいち早く医療スタッフを現地に派遣。7か月以上にわたって医師・看護師・事務職員などからなる緊急医療チームを切れ目なく派遣し続け、避難民キャンプの中で、バングラデシュ赤新月社のスタッフやボランティアとともに、巡回診療と仮設診療所での保健医療支援やこころのケア活動を行いました。これまでに現地に派遣された職員は120人以上、8万人の方々を支援してきました。

 

主役は避難民そして地元の人々へ

907A9396.jpgバングラデシュ赤の助産師を指導する日赤看護師 ©AJ Ghani

避難民のバングラデシュでの生活が長期化の様相を呈していることから、日赤は、2018年5月からは2020年までの支援を見据え、バングラデシュ赤新月社と協働しながら、避難民と地元コミュニティの自助や共助、そしてレジリエンス(逆境から立ち上がる復元力、回復力)の強化を目的とする中期保健医療支援事業を開始しました。

中期支援では、医療サービスの担い手である地元の医療者の育成や医療施設の整備に力を入れるとともに、避難民みずからがボランティアとして地域の人々の病気予防や健康促進に取り組む活動もスタートしています。地域ボランティアを育成し、救急法講習の開催や、下痢をはじめとした感染症を予防するための教育活動など、避難民キャンプに住む人びとへの保健衛生の促進をすすめていく予定です。

P8010251.JPG

笑顔で熱心にボランティア研修をうける避難民の女性たち

避難民や地元コミュニティのボランティアたちによる地域での活動はその他の場面でも広がっています。国際赤十字とアメリカ赤十字社の支援をうけ、避難民キャンプには災害が起きた時に人びとの避難誘導や救助・応急手当てができるボランティアのグループが組織されました。避難民キャンプに住むアメナさんもその一人。ボランティアとしての研修を受けた彼女は、「新しいことを学ぶのはとても楽しい。学んだことを近所の人たちにもぜひ教えたいわ」と意気込んでいます。

言語や文化も異なる避難民のことを一番よく知っているのは避難民ボランティアです。だからこそ、赤十字の支援活動の担い手となるのは彼ら自身なのです。真っ先に脆弱な立場に追い込まれる人々が、災害や病気などのさまざまな危機に対応できる力を彼ら自身の手で身に着けていくことはとても大切です。

日本赤十字社は、これからも避難民そして地元の人々に寄り添いながら支援を継続します。引き続き、皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。