世界津波の日 ~インドネシア・スラウェシ島地震 津波被災者の声~

 毎年11月5日は、1854年のこの日に和歌山県で発生した大津波の教訓に由来して「世界津波の日」に制定されています。

 世界で発生した津波としては、9月28日現地時刻17時にインドネシア・スラウェシ島でおきたM7.5の地震とそれに起因して発生した最大11.3メートルの津波が記憶に新しいかと思います。このスラウェシ島での地震により死者2,081人、重傷者4,438人、行方不明者1,309人の被害が出ており、未だ20万人が避難生活を余儀なくされています(インドネシア国家防災庁 10月25日現在)。

p-IDN2004.jpg エルナワティさん(60歳)も避難生活を余儀なくされている一人です。地震が起きてまもなく、家を出て、高台に逃げましたが、津波の威力により、家の中のすべての物が流されてしまいました。今は遠方に住む親せきの家に間借りして生活する日々を過ごしています。

(写真右)家があったはずの場所に立つエルナワティさん © Benjamin Suomela Finish Red Cross

脚が立ちすくんで動くことができなかった

e797b5e5-d32f-4cc0-a5db-88bc068ed154.JPG 発災当時は、浜辺ではお祭りの準備が進められており、浜辺にいた多くの人びとが津波に巻き込まれました。パル市に住むインドネシア赤のボランティア、ヌルヤーティさん(45歳)もその一人。地震と津波がパル市を襲ったときに、浜辺で地元のお祭りの運営準備をしていました。「突然、大きな地震が起こり、私はその場にいた大勢の人たちと一緒に逃げようとしましたが、大きな津波が迫ってくるのを目にして、ただ呆然と立ちすくんでしまいました。恐ろしさに体が動かなかったのです。またたく間に津波に呑み込まれてしまい、私は意識を失ってしまいました。ふと気がつくと、私は浜辺から内陸に押し流されており、周りは瓦礫だらけ。しばらくたってから、自宅に戻ろうと決心して歩き出しました」とヌルヤーティさんは当時のことを、日赤の要員に語りました。

誰一人、取り残さない

CIMG2974.JPG 日本赤十字社(日赤)は、発災翌日には連絡調整要員を現地に派遣するとともに、地元インドネシア赤十字社(インドネシア赤)の展開する保健医療活動を支援するために、日赤の医師と看護師を保健・医療アドバイザーとして現地に派遣しています。

 これまで、日赤の保健・医療アドバイザーは、地震により医療機関が機能していない震源地近くのトンぺ村で、近隣地域2万人が医療支援にアクセスできるよう、仮設診療所を設置・運営する支援を続けてきています。また、被災地各地では、診療所まで足を運ぶことができない住民に対しても、インドネシア赤ボランティアの声や調査に基づき巡回診療が展開されています。

(写真上)インドネシア赤の看護師に指導する苫米地看護師(日赤医療センター)

(C) Benjamin Suomela Finnish Red Cross.jpg 目に見える傷だけでなく、今回の地震により心に負った傷にも寄り添うべく、インドネシア赤は、こころのケア活動にも取り組んでいます。

(写真左)こころのケア活動の一環として、子供たちが日常生活取り戻せるをように、安心して遊べる場を設置 © Benjamin Suomela Finish Red Cross

「被災者を見落とさずに、地域の生の声をくみ取り、最も支援を必要としている人を見つけ、活動に繋げることができるのは、地元に根付いたボランティアたちの声を聴きながら活動する赤十字だからこそできること」、と第一陣として現地に派遣されていた杉本医師(名古屋第二赤十字病院)は振り返ります。

 発災から1か月が経った今でも、未だ復興の見通しが立っていないスラウェシ島での保健医療のニーズに対応できるよう、日赤は引き続き支援を続けます。

世界災害報告2018『誰一人、取り残さない』

国際赤十字・赤新月社連盟(以下、「連盟」)は、『世界災害報告2018』を発刊しました。世界災害報告は、毎年連盟が発刊しており災害対応の最新のトレンドに焦点を当てています。

国際連合人道問題調整事務所(UN OCHA)の2018年度報告によると、世界には人道支援を必要とする人々が約1億3,400万人いると言われています。しかしながら、現状では約9,740万人の人々にしか支援が行き届いていません。(※Global Humanitarian Overview, UN OCHA, 2018)

今年は『誰一人、取り残さない』と題し、支援の行き届かない現状に対して解決策を見出します。

全文(英語)は、下記ホームページから、どなたでも閲覧することができます。

世界災害報告2018『誰一人、取り残さない』

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