バングラデシュ:避難民の健康を守るために診療所を強化する

日本赤十字社(以下、日赤)は、ミャンマーのラカイン州で2017年8月に始まった暴力行為から隣国バングラデシュへ逃れてきた避難民を支援するため、バングラデシュの避難民キャンプに診療所を設置し、現地医療スタッフやボランティアとともに医療活動を継続してきました。帰還に向けた動きが見えない中、現地では中長期的な支援が必要となっています。
 現地へ派遣されている平田こずえ看護師(日本赤十字社和歌山医療センター)が、現地の最新の様子をお伝えします。

※国際赤十字では、政治的・民族的背景および避難されている方々の多様性に配慮し、『ロヒンギャ』という表現を使用しないこととしています。

日赤による避難民キャンプでの支援

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現在、ミャンマーからバングラデシュへ避難した約70万人と、それ以前からの約20万人の避難民とあわせ、90万人以上が避難民キャンプで生活しています1。日赤は、現地バングラデシュ赤新月社(以下、バ赤)を支援し、2017年9月より医師、看護師、助産師、薬剤師、事務、技術者などで編成された医療支援チームを派遣、キャンプ11、12、14、18での巡回診療や地域保健啓発活動などを行いました。2018年7月からは巡回診療を終了し、キャンプ12の診療所を拠点として現地医療スタッフやボランティアとともに医療活動を継続しています。埃っぽくあちこちで散乱しているゴミや汚水の処理が不十分で衛生環境が良くないキャンプ内では、呼吸器疾患や、感染症にかかる患者さんが多く、日赤はこれまでに延べ6万5千人以上を診療してきました。

サイクロンに備えた新診療所建設と今後の支援

支援を行う避難民キャンプは、急激な人口増加に対応するため、バングラデシュ政府が国有林を切り開いて設置したものです。急ごしらえの土地のため雨が降ると地盤が緩くなる地滑りの危険性、また、サイクロンや大雨が多い環境下ではテントと竹で作った建物が長期間耐えられない可能性があります。
 そこで、現地では2019年1月より、診療所の地盤強化と建て替え工事を実施しています。工事が行われている間は、元々他団体が使用していた建物を仮設診療所として借り、毎日100名以上の患者を受け入れています。診療所では、現地医師3名、看護師5名、助産師2名、通訳やクリーナーなどのボランティア32名が週6日の外来診療を継続しています。

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仮設診療所の概観

仮設診療所は汚水の溜まる溝に囲まれ、裏手は魚市場で悪臭が漂ってくることもありますが、ボランティアが毎日掃除をきちんとしてくれるおかげで、診療所内はいつも清潔に保たれています。


1:2019 Joint Response Plan for Rohingya Humanitarian Crisis (as of Dec 2018)

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地盤強化工事が終了し、まもなく建物の建設が始まる新診療所建設地

診療所の建設は、工事を開始後、1カ月ほどかかる予定です。サイクロンシーズンに入り、まもなく本格的な雨季が始まるため、その前に新しい診療所に移りたいと、スタッフ、ボランティア全員で建物の完成を心待ちにしています。

これまでは緊急対応ということで救急診療に比重を置いた支援を行ってきましたが、これからは中長期的にキャンプの避難民の健康を支えていくことを目指し、新しい診療所を拠点に、病気の予防に向けた健康教育活動と、生活習慣病などの慢性疾患を抱えた患者や妊産婦のフォローアップにも力を入れ、地域保健ボランティアとの連携を強化して活動を進めていきます。

現在の事業支援は2020年3月までの予定です。以後はバ赤の現地スタッフが自分達で診療所を運営し、より質が高く現地で持続的に提供できる診療を行えるよう、日赤は引き続き支援をしていきます。皆さまのご支援、どうぞよろしくお願いします。

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雨風の影響を受ける元診療所

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看護師の役割について話し合う山本美紗看護師
(日本赤十字社医療センター)

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現地医師による感染症についての勉強会

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ボランティアに患者データ入力について指導する平田こずえ看護師(日本赤十字社和歌山医療センター)