パレスチナ・ガザ地区における病院支援事業の開始

 パレスチナ赤新月社(以下、パレスチナ赤と日本赤十字社の2か国間事業として、2018年4月に開始したレバノンのパレスチナ赤病院に対する支援に引き続き、今回2019年10月より、パレスチナ暫定自治区ガザ地区の2つのパレスチナ赤病院(アルクッズ病院、アルアマル病院)の支援を開始しました。以下は、10月から約2か月間、ガザ地区に派遣され事業開始に取り組んだ渡瀨 淳一郎 医師(大阪赤十字病院所属)からの報告です。

ガザ地区の状況

 ガザ地区は、1948年に多数のパレスチナ難民が戦禍を逃れて流入してきた地区です。以後、パレスチナ暫定自治区となりましたが、2007年以降ガザ地区が封鎖され、住民の地区外への厳しい移動制限が生じました。

 その抑圧された状況に加えて、度々、ガザからのロケット弾とイスラエルからの空爆の応酬や、ドローンによる攻撃があります。私がガザ滞在中の11月にも一度緊張が高まりました。空爆の目標は軍事施設が主であることは分かっているとはいえ、発射と着弾の音が断続的に聞こえている間、とても恐ろしい気持ちがしました。応酬は3日間に及び数十名のガザ市民が命を失いました。週末には、自治区とイスラエルの境界において幾多の制限に対する抵抗デモが度々起こっており、死傷者が生じています。

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アルクッズ病院                 金曜日の大量負傷者搬入時の救急外来(ER)

事業の目的

 このような状況下で、ガザ地区の医療施設が重要であることは言うまでもありません。しかし、ガザ地区の医師・看護師に総じて言えることですが、彼らが地区外へ出ることを許可されることは非常に稀であるため、知識や技術のアップデートの機会を得ることは困難です。

 従って、本事業においては足りないモノの提供ではなく、診療の質の改善を目的とした技術支援を予定しています。調査の結果、救急外来(ER)の共通診療プロトコールの開発や、重症患者に対する診療手技、看護ケアの改善などを目標とすることとなりました。

 期間は2年間で、パートナーのパレスチナ赤としっかり協調し、事業後の確固たる継続性をもたらすことを主眼に活動してまいります。

現地の人々からの期待

 現地の方々と話していると、どなたもが苦しみとストレスをかかえていることが分かります。数十年に及ぶ厳しい移動制限が続き、今なおガザ地区の住民の多くは非常に困難な状況に置かれたままです。

 世界の恵まれない人々を支えるため、これからも日本赤十字社の国際支援活動にご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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アルクッズ病院薬剤部の見学(左端:池田載子看護師(大阪赤十字病院))

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アルアマル病院スタッフと渡瀨医師(左端)、池田看護師(前列中央)

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