新型コロナウイルス×気候危機~国際赤十字がレポートを発表

 新型コロナウイルスのまん延は、その感染力などから、現在の医療制度では太刀打ちできない、単なる病気を超えた「健康上の緊急事態(Health emergency)」という人道危機をもたらしています。こうした状況下でも台風、サイクロン、干ばつ、洪水といった気候変動によってもたらされる自然災害は、待ったなしで襲い掛かります。今号では、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)が発表した二つのレポートを紹介します。

コロナ禍のいま、世界で5000万人以上が気候関連の災害で被災

 2020年9月、連盟は「異常気象と新型コロナウイルス感染症(Climate-related extreme weather events and COVID-19)」と題したレポートを発表しました。まだ初期段階の分析と位置づけながらも、コロナ禍で洪水や飢餓、台風の被害を受けているのは、少なくとも5160万人と報告しています。

 新型コロナウイルス感染症の広がりにより、異常気象に関連する災害で支援を必要とする人の数が増加しているだけでなく、緊急対応や治療を妨げる要因にもなっています。また分析により、2020年に発生した異常気象(unique extreme weather events)に関連する132の災害のうち、92の災害が新型コロナウイルス感染症と並行して発生し、対応が必要になっていることが分かりました。連盟のロッカ会長は「新型コロナウイルス感染症がまん延する状況であっても異常気象が止まってくれるわけではない。何千万という人々がコロナと災害の両方の影響を受けている。従ってその両方に対応するほかない状況だ。」と語りました。

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食料や衛生用品などの救援物資を配布©エルサルバドル赤十字社

熱波の到来、水位の上昇―気候変動の「人道的影響」がますます現実に


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「世界災害報告2020」©IFRC

 気候変動が世界に与える影響としてはこれまで、気温の上昇、海水温の上昇、北極海の海氷域面積の減少などが知られてきました。こうした現象は、台風、サイクロン、干ばつ、洪水といった気候変動によってもたらされる自然災害をもたらしています。


 連盟は、今年の11月、近年の自然災害の傾向を分析し、気候危機(Climate Crisis)の人道的影響について最新の報告をまとめました。


 報告では、2010-2019年の過去10年間に起こった災害の83%は、洪水、暴風雨、熱波などの異常気象などによるもので、これにより41万人以上が死亡し、17億人が何らかの被害を受けたという驚異的なスケールの影響が明らかにされています。またそうした気候変動による災害の影響を受けやすい国々は、その予防や対応のための十分な資金を持たないため、具体的な対策を講じるにも限りがあるとしています。さらに同報告では、未だ予断を許さない新型コロナウイルス感染症の世界的まん延に加え、今後10~30年間の気候変動がもたらす災害リスクと、人口減少、食料問題などの問題にも言及しています。

 「世界災害報告2020」全文はこちらから 

コロナ禍の今だからこそつなぐ、たすけあいのバトン

 これら二つのレポートは、感染症対策と災害対応は、同時に取り組まなければならない難題であることを私たちに突きつけます。さらに、10~30年後を見据えた人道危機にも言及し、私たちを取り巻く環境はますます複雑化することが予見されています。

 コロナ禍で苦しんでいる人間を救うことができるのもまた人間です。東日本大震災では、世界中の大小様々な国から1000億円もの支援が寄せられたことを忘れてはなりません。192の国と地域に広がる赤十字だからこそ、そこには現地の赤十字があり、支援が必要な人に確実に手を差し伸べることができます。今月から実施している海外たすけあいキャンペーン。ぜひ、皆様の善意を本キャンペーンに託していただければ幸いです。

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49号_新型コロナ×気候危機‗国際赤十字レポート.pdf