看護の原点に立ち返り想像力をもって認知症患者さんと向き合う―相模原赤十字病院の試み―

赤十字病院では通院または入院する認知症の患者さんに適切な看護を提供できるよう、全国で61名の認知症看護認定看護師、12名の精神看護専門看護師、5名の老人看護専門看護師(平成29年10月現在)が活躍しているほか、本部で日本赤十字社認知症看護実践力向上研修会や、各病院単位で勉強会などを開催しています。

今回は、津久井湖を一望できる相模原赤十字病院(神奈川県・132床)の認知症ケアチームの一日に密着しました。相模原赤十字病院は新入院患者の70%以上が65歳以上の高齢者であり、今後も地域の高齢化が進むことが予想されています。昨年から、認知症看護の研修を修了した看護師を中心に、医師と薬剤師と作業療法士がメンバーとなり認知症ケアチームを結成し、看護職員の認知症ケア能力向上や行政・地域との連携に取り組んでいます。認知症ケアチームのメンバーは各病棟に2名以上配置されており、普段は病棟スタッフと協力しながらケアを推進しています。

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電子カルテでケアの状況を確認

認知症ケアチームの活動に密着!!

取材日は月に一度の認知症ケアチームの会議の日でした。まずは活動予定を確認し、今月は監査のため病棟を見回ります。

看護記録や関連会議の実施状況、患者さんの状態をチェック。受け持ち看護師からのヒアリング後には、症状が気になる患者さんと時折笑い声も交えながら、コミュニケーションを図り、様子を確認します。

その後、チームで再び集まり病棟の見回り結果を報告、メンバー間で気づきや意見を交換して、各自、スタッフに現状課題を伝達し、自身の病棟の更なる改善に取り組みます。

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各病棟や外来部門から集まった認知症ケアチームのメンバー

活動終了後、認知症ケアチームのメンバーにインタビューを行いました。

―認知症の患者さんと接する際に大切にしていること、心がけていることはありますか。

(A看護師)受け持ちの患者さんが、処置を拒絶したり、自分が入院していることが分からなくなったりすることもありますが、なぜそのような反応があるのかを考え、気持ちに寄り添うようにしています。

(B看護師)患者さんと目を合わせて話すことを意識すると、返事をもらえるようになり、今までこちらが伝えられていなかったということに気づきました。

―やりがいを感じるのはどんな時ですか。

(C看護師)目をみてゆっくりお話するなど、関わり方を工夫することで患者さんの症状が改善する時です。最初は無表情だった患者さんも関わりを通じて笑顔を見せるようになったときは嬉しいです。

―印象に残っているエピソードを教えてください。

(D看護師)夜中に大きな声を出し、何かに怯えた患者さんがいました。話を聞くと病室に猫がいると感じているようでしたので、「逃がしてきますね」と伝えて一旦部屋を出ました。その後病室に戻ると、患者さんは納得し、安心して眠ることができたようです。「猫なんかいないよ」と言うことは簡単ですが、患者さんに合わせた姿勢が大切であるとこの時に感じました。

―作業療法士からみて、認知症ケアチームの活動はどのように思いますか?

(E作業療法士)リハビリの考え方の中でも、その人の「生活環境」を整えることが重要であると強く言われています。患者さんが入院生活で関わる時間が一番長い看護師と、職種を超えて今後も連携していきます。

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髙城看護係長は認知症ケアチームの看護部責任者として活躍

「認知症看護は看護の原点」

認知症ケアチームの看護部責任者は認知症看護について次のように語りました。

(髙城看護係長)認知症看護は看護の原点だと考えています。看護の原点とは患者さんに寄り添うこと。それがなくては、認知症看護は成り立ちません。想像力をもって、患者さんがどう思っているのか、何をしてほしいかを考え、それを看護に生かすことが特に重要だと考えています。認知症の患者さんを持つご家族には、連日の介護に疲弊していたり、身近な人の今までにない姿を見てショックを受けていたりする方もいらっしゃいます。そういったご家族のケアやサポートもしていけたらと考えています。

相模原赤十字病院が目指す認知症看護とは

最後に同院の荒尾看護部長に、目指す認知症看護について聞きました。

(荒尾看護部長)昨年発足した認知症ケアチームのメンバーが、病棟の看護師と協力しながら認知症ケアの向上に努めていることで、患者さんを尊重した関わりに繋がっていることを実感しています。カンファレンスや情報の共有など、看護部だけでなく、多職種の意識の高まりも感じています。これからの高齢社会では、認知症は特別ではなく老化の一つの表れであり、その人の個別性としてとらえ、院内の全職員が、患者さん一人ひとりをかけがえのない大切な人として尊重した関わりができるようにしていきたいと思っています。

相模原赤十字病院ホームページ > http://www.sagamihara.jrc.or.jp/

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