アジア太平洋地域のユースボランティアと共に人道的課題を議論~シンガポール赤主催人道ユースサミット~

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日本から参加した荻野さん(写真左)、渡辺さん(写真右)

シンガポール赤十字社は、7月1日~3日にかけて、人道ユースサミットを開催。日本から赤十字語学奉仕団の渡辺華連さん、宮城県青年赤十字奉仕団の荻野亮平さんが参加し、東ティモール、ミャンマー、スペインなど世界各国から集まったユースボランティアと共に赤十字が取組んでいる今日的テーマについて議論しました。

サミット初日は「若者と人道」をテーマに有識者の講演やワークショップが行われ、東日本大震災後の東北3県を訪れドキュメンタリー制作に携わったシンガポール赤十字社のユースが発表をしました。災害の爪痕がいまだ残る地域の訪問や多くの被災者をインタビューした彼らは「災害時に起こりうる甚大な被害とコミュニティーの再建の重要性を学んだ。災害時であっても、ユースとしてコミュニティーに貢献できる役割があると気づけたことで、とても成長できたと感じる」と語りました。

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東日本大震災後の東北3県を訪れたユース

2日目は模擬連盟総会が開催され、参加者は「高齢者」「献血」「移民」「コミュニティーの結束と安全」という4つのテーマについて、実際の連盟総会*さながらの議論を行いました。
渡辺さんは「献血」と「コミュニティーの結束と治安」の合同テーマのディスカッションに参加、「災害やテロが起こると献血者数の増加が見込まれますが(血液には有効期間があることに加え、病気の治療等で日常的に使用されることから)平時から安定的に献血が行われることが重要です」と意見を述べました。

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グループディスカッションに参加する渡辺さん

ディスカッションに参加して、荻野さんと渡辺さんはそれぞれ「海外のユースの方々の多くが自分の主張を持ち、それを情熱的に周りに伝えることができること、自分が世界をより良く変えるのだという意思を持っていることを強く感じた」「問題に対する解決策を大勢で話し合って模索する以外に、一人一人が問題に対して積極的に考えることができるという点で非常に有意義であった。日本でも広く開催すべき」と感想を語りました。

最終日は、シンガポール赤十字社に招かれ、筋ジストロフィー病棟と献血センターを見学しました。病棟訪問の際、荻野さんは、患者の様子を見て、中国のユースが「重たい病気にかかっていますが、治療をしてくれる人と場所のある彼らは幸運です」と感想を語るのを聞き、日本が医療面で非常に恵まれているのを感じたといいます。

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シンガポール赤十字社の献血センターを見学、献血マスコットと記念撮影

プログラムの参加をとおして、荻野さんは「世界には様々な国があり、それぞれの国には独自の文化や風習、考え方があるということを再認識しました。刻々と状況が変化していく中で、日本国内のみに視野を狭めるのではなく世界に視野を広げることは非常に重要だと思う。様々な人の話を聞き、考え方を知り、学ぶ姿勢を大切にして自分の今後に活かしたいと思う」と締めくくりました。

*連盟総会・・・2年ごとに開催される国際赤十字・赤新月社連盟総会のこと。190の各国赤十字・赤新月社代表で構成される、最高意思決定機関です。