ともに、生きる。~日赤安謝福祉複合施設の取組み

児童館の七夕会。中学生の恩返し

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暗闇の中、ブラックライトに照らされて幻想的に浮かび上がる七夕の絵芝居。那覇市・安謝の児童館で、地元の中学生ボランティアが披露した七夕会の出し物です。
 音楽とナレーションに合わせて、特殊な絵の具を使った切り絵が貼られていき、流れるように物語が展開していきます。観客の子どもたちはお話の世界に引き込まれ、身じろぎもしないで見守っています。 

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中学生たちは、この日のために切り絵を作成し、何度も練習を重ねました。小学生の頃にお世話になった児童館で、放課後の奉仕活動です。七夕の物語が終わり、明かりがつくと、児童館の子どもたちの大きな拍手を浴びてはにかむ中学生。保育園や児童館、学童保育が1カ所に集まったこの施設には、中高生や社会人になった「卒園生」が気軽に訪れ、幼い頃に過ごした思い出の場所でこうしたボランティア活動に参加しています。

地域コミュニティを支える社会福祉

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0歳から104歳まで。児童館や特別養護老人ホーム、デイサービスセンターなど4世代が利用できる日赤安謝(あじゃ)福祉複合施設(沖縄県那覇市)は、地域の幅広い世代の方の交流の場です。
 四季折々のイベントがあり、夏には「七夕会」や「平和学習会」、秋には敬老の日を祝う「がんじゅう祝い」や「四世代交流レク大会(室内運動会)」、その他、日赤の施設ならではの「防災炊き出し訓練」や「救命救急訓練」も定期的に開かれ、多くのボランティアや地域の人々が協力に駆け付けます。

1人1人が、相手を思いやる場所に

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赤十字賛助奉仕団の高良清吉さんは元英語教師。でも日赤安謝特別養護老人ホームでは英語ではなく、ボランティアで短歌を指導します。短歌を作るために、ホーム入所者はスタッフといろんな思い出話をします。あの時はこうだった、この時はこんな気持ちになった・・・・・・記憶を辿りながら、生き生きと話し始める。これが高良さんの狙いです。

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那覇市赤十字奉仕団の方々も、毎週この施設を訪れ、ホーム入所者の洗い終わった衣服やタオルなどを畳む“洗濯奉仕”を行います。2時間をかけて山のような洗濯物を手際よく畳んでいきますが、畳まれた物を見ると、個人の名前が見えるようになっていたり、収納しやすいように均一の大きさに折り畳まれていたり、そこには使う方への気遣いが。いつかは自分もお世話になるかもしれないから・・・・・・と言いつつも「使いやすいように丁寧に畳まれていると、嬉しいでしょ?」。やはり、相手の気持ちを大切にしたボランティア活動なのです。

生きる喜びを、諦めない

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3皿とも魚とブロッコリー、にんじんの同じメニュー。通常食(下)、きざみ食(左)、凍結含浸法食(右)

この施設全体の「思いやる気持ち」は、日赤安謝特別養護老人ホームで出される食事にも表れています。それが「凍結含浸(とうけつがんしん)法」で作られたおかず。
 「凍結含浸法」は、酵素の力で、原形を維持したまま食材を極限まで柔らかくする調理法です。繊維まで柔らかくなるので長時間煮込むよりも食べやすくなります。
 噛むことや飲み込むことが困難な方には、具材を小さく刻んだ「きざみ食」や、すり潰した「ミキサー食」にする介護食が一般的ですが、素材の色や形を楽しむことが少なくなります。「人って、目で見て食べるもの。食べる楽しさを味わってもらいたい。健康で長生きするには、食欲って大事なんです」。そう語るのは施設の管理栄養士。

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凍結含浸法で作ると、しっかりと形があっても、すべてがトロリとした食感に

しかし「凍結含浸法」の調理は簡単に軌道に乗ったわけではありません。この食事を提供するまでに、2年もの間、試行錯誤が続きました。技術的に特定の酵素を使った調理法は確立していましたが、素材の種類や状態によってルール通りに作ってもうまくいかず、一定の「とろける食感」を作り出すのにコツが必要でした。2年間諦めずに挑戦し続けたのは、食べる喜びを感じてもらいたい、しっかり食べて健康になってもらいたい、という調理スタッフや管理栄養士の思いがあったから。施設では、生きる喜びのためのさまざまな挑戦が日々行われています。