戦争は人間性を奪うもの。沖縄からのメッセージ

平和学習会~悲しみを繰り返さないために

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沖縄県那覇市にある日赤安謝(あじゃ)福祉複合施設(以下、日赤安謝)は、毎年、太平洋戦争の沖縄戦が終わったとされる6月23日の『慰霊の日』の時期に合わせて、戦争体験を子どもたちに語る「平和学習会」を開催しています。

今年は日赤安謝のデイサービスセンター「じんぶん学校」の授業の一環として行われ、子ども30人、大人30人が戦争体験者の言葉に傾聴。このイベントは、琉球新報など4社のメディアから取材を受けました。

日赤安謝の川満博信施設長と、沖縄県の南風(はえばる)町赤十字奉仕団委員長で沖縄戦の語り部(かたりべ)としての活動を続けている仲程シゲさん(88歳)の平和へのメッセージは、赤十字NEWS8月号でも紹介されました。

紙面に掲載されなかった仲程シゲさんの体験と直筆の絵を紹介します。

全国の皆さんに伝えたい、沖縄の青年の声なき声(仲程さんの体験談)

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日本軍に家を焼かれ、移動しながらの避難生活を送っていた仲程さんの一家は、最後の避難場所となった洞窟の前で、目に焼きついて離れない光景に遭遇しました。

「昭和20年6月21日朝の出来事です。家族と共に避難場所を求めて転々とし、流転を始めたときは13人居た家族・親戚が、5人亡くなって8人になっていました。逃げ場を失い、これからどうしようかとさまよっているとき、一緒に避難している集団の中の一人の青年が"捕虜になりましょう"と呼び掛けた途端、二人の日本兵が出てきて"こんな馬鹿がいるから沖縄の戦争は負けるんだ"と、この青年の首を日本刀で切り落としました。目の前で起こった惨劇に私は我を忘れました。当時、私は16歳。この光景は、70年を越えた今でも、頭から離れることがありません。あの戦争から生き残った私は、人間性を奪う戦争の悲劇、首を切られた青年の無念を、全国に伝え続けたいと思っています」

aja_nakahodo_pic.jpg (沖縄戦の悲劇を伝える、仲程さん直筆の絵)

※『じんぶん』とは、沖縄の言葉で『知恵』のこと。日赤安謝では、利用者が自ら進んでデイサービスセンターに行きたくなる運営を目指し、"自分の健康を守るための知恵を学べる場所"として、「じんぶん学校」と名づけました。