バヌアツの防災を自分事として考える~シリーズ9~

前回は、バヌアツの一般市民の暮らしを体験~バヌアツの家族(シリーズ⑧)として、メレ村でのホームステイを通して、バヌアツの防災を自分事として考え始めたメンバーの様子をお伝えしました。今回は、そのメレ村の小学校での避難訓練の様子をお伝えします。

お昼休みに大きな地震が発生。すぐそばには海が・・・

メレ村の小学校は海のすぐ側にあります。お昼時、児童たちは校庭にいたり、教室にいたり、学校のなかでばらばらに過ごしています。もし、この環境で、このタイミングで大きな地震が発生したら、という想定で避難訓練を行いました。

避難訓練の冒頭では概要を説明。

避難訓練の冒頭では概要を説明。

メレ村の小学校は海のすぐ側にあります。お昼時、児童たちは校庭にいたり、教室にいたり、学校のなかでばらばらに過ごしています。もし、この環境で、このタイミングで大きな地震が発生したら、という想定で避難訓練を行いました。

実際にまず、先生たちが児童を校庭に集め、人数を確認します。そして全員がいることが確認できたら、2キロ先の避難場所までひたすら急ぎ足で逃げます。避難するにあたり、道中では怪我をした人への応急救護を行う場所を設けて、実際の避難で起こりうるケースを想定した訓練を行っていました。

バヌアツでは立ったまま点呼。日本では座ることを指摘。

バヌアツでは立ったまま点呼。日本では座ることを指摘。

やっとの思いで避難場所につきましたが、全員が到着するまでには長い時間がかかりました。日本メンバーは津波が来てしまったら、助からない命があるかもしれないことを身をもって感じました。避難場所では、先生から児童に対して「どうすればもっと早く避難できたか一緒に考えよう」と問いかけ、児童からは「小さい子の手を引く」「先生がもっとはやく指示を出す」など、互いに真剣に議論を重ねました。日本メンバーと指導スタッフはその後、学校長や避難訓練の担当の先生、バヌアツ赤十字社スタッフとともに避難訓練についての振り返りを行いました。日本メンバーからは「はだしで走る子もいるので、足を怪我するかもしれない。道路の清掃をしてはどうか」「救急箱が大きすぎて走りづらそうだったので、ポーチがあったほうが良いのではないか」といった意見が出て、小学校にとっても、バヌアツ赤十字社にとっても、日本メンバーにとっても、非常に学びの多い訓練になりました。

海外メンバーとともに避難先を目指し歩き続ける。 海外メンバーとともに避難先を目指し歩き続ける。

避難訓練の振り返りとしてメンバー・指導者・教員・バヌアツ赤十字社スタッフと意見を交わします。 避難訓練の振り返りとしてメンバー・指導者・教員・バヌアツ赤十字社スタッフと意見を交わします。

いのちを救う教育

避難訓練をともにした児童たち。

避難訓練をともにした児童たち。

メレ村の小学校の子供たちが、「地震がきたら津波がくる」ということを学ぶことで、救われる命が増えることは間違いありません。「幸せであれば不便でも支援は不要なのか」といった議論がメンバーのなかにはありました。今回の避難訓練を通して、幸せか不幸せかという問題ではい、教育の重要性、さらに一円玉募金の必要性を肌で感じました。

日本メンバーは、前日のメレ村でのホームステイを経験し、「家族」ができたことで、避難訓練のなかに見え隠れする村全体に関わる課題を考えました。2キロ先の避難場所までの道路は、決して平坦ではなく、舗装もされていない1本の細い砂利道。今回通っただけで足はほこりまみれです。メレ村から避難場所まで行くにはその道しかなく、もし本当に地震が起きたら、その道を通る時に住民や子供たちであふれ、混雑することが予想されます。村人は全員が走れるとは限りません。ホームステイで自分によくしてくれたおばあちゃんやおじいちゃん、小さな妹や弟は津波から逃げることができるのか。メンバーは避難訓練後、これまで感じ、学んだことをつなげ、バヌアツの課題を自分事としてとらえて自分は何をするべきなのかを考えました。

気づいた課題に対して「政府が」「住人が」どうすればよいのか、ではなく、「自分は」何ができるのかを考え、実行する。それが青少年赤十字が大事にしている「気づき、考え、実行する」という態度目標です。

次回は、いよいよ最終回!超積極的・超好奇心旺盛に全身で学び続けたスタディーツアーの最後と、帰国後のメンバーの活動についてお伝えします。

≪続≫

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