(速報11)フィリピン中部台風~1カ月後の現地はいま~

村の子どもを診療するフランス赤十字社のアビディーン医師

村の子どもを診療するフランス赤十字社のアビディーン医師

11月8日にフィリピン中部を直撃した台風30号(英語名:Haiyan)。甚大な被害に対する救援活動を始めて早くも1カ月が経過しました。

日本赤十字社(以下、日赤)は現地のニーズに基づき、引き続き活動しています。

日赤チームの巡回診療が住民に安心感を

フィリピン・セブ島の最北端、ダンバンタヤン郡(人口8万6000人)で巡回診療を行っている日赤の保健医療(基礎保健ERU:Emergency Response Unit/緊急対応ユニット)チームが、この日訪問したのはティヌブダン村です。台風で被災した後、村に電気が通じなくなったため、キャンドルをともして夜を過ごす生活が続いています。

診療の拠点となる村内の保健所に行くと、すでに住民たちが集まって椅子を並べるなど、保健医療チームの到着を今か今かと待ち構えていた様子。海外の医療チームがこの村で活動するのは初めてということもあり、診療の様子を見物する人も多くいます。日赤チームは郡内20村すべてで巡回診療を行っています。

台風後、子どもの発熱が多発

レイゼルさんと子どもたち

レイゼルさんと子どもたち

1歳6カ月の子どもを連れて受診に訪れたレイゼル・ティンドイさん(32歳)は「台風の後、子どもが熱を出すことが多い」と語ります。今回も9日前から熱を出したため、村で唯一の医療スタッフである助産師に診てもらったものの、同じ症状の子どもが多く、保健所では薬の在庫がなくなってしまったといいます。

幸い症状が落ち着いていることもあり、診療に当たった保健医療チームのアレス・アビディーン医師(フランス赤十字社)の「水をよく取って」というアドバイスだけで済みました。レイゼルさんは「医師に診療してもらえると、とても安心します。巡回診療は本当にありがたいです」。

レイゼルさんの家は、保健所から歩いて15分。台風で自宅が壊されたため、今は隣の家に間借りさせてもらっています。夫はセブ市にあるゴミ焼却所で働いており、この3カ月間は家に帰っていません。「セブ市からダンバンタヤン郡まで帰ってくるバス代が高く、400ペソ(約800円)もかかります。そのお金を節約すれば、食べ物が買えます」。

台風がフィリピンを襲った日は、猛烈な風の中で2人の子どもと抱き合って過ごしました。「とても怖かったです。屋根が吹き飛んだので、子どもが泣きじゃくっていました」

困難な中でも笑顔を失わない住民たち

笑顔を見せてくれた村の子どもたち

笑顔を見せてくれた村の子どもたち

ティヌンダン村は郡内でも一、二を争う貧しい地域。住民は「お金がないから、巡回診療は本当に助かります」と口々に語ります。

村では常駐する助産師に相談したり、薬をもらったりするのは無料ですが、少し離れた診療所に行けば100~300ペソ(約200~600円)、病院に行くと3000ペソ(約6000円)かかります。しかも、病院は村から離れたところにあるため、行くのは出産の時や交通事故などで大きなけがを負った時ぐらいです。

台風の後、この村では水や食糧の不足が深刻になりました。「お金があれば、30分ほど離れたスーパーマーケットに水でも食糧でも買いにいけるのですが」と言いながらも、住民たちは困難な状況にめげることなく、持ち前の陽気さで笑顔を見せながら、生活の様子を説明してくれました。

保健医療チームの第2班を派遣

巡回診療に集まってきた住民

巡回診療に集まってきた住民

日赤の保健医療チームはフィリピン台風災害に対する救援活動を続けるため、12月17日に第2班を派遣します。引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

  1. 名古屋第二赤十字病院 第二麻酔・集中治療部長 兼 国際医療救援部長 杉本 憲治 (チームリーダー)
  2. 大阪赤十字看護専門学校 専任教師 兼 大阪赤十字病院 国際医療救援部 国際救援課長 池田 載子(看護師長)
  3. 名古屋第二赤十字病院 看護師 鈴木 美弥子
  4. 日本赤十字社和歌山医療センター 看護師 大谷 香織
  5. 日本赤十字社青森県支部 事業推進課長 吉川 靖之
  6. 名古屋第二赤十字病院 国際医療救援部 主事 山田 愛美
  7. 熊本赤十字病院 事務部 外来業務課 主事 黒木 豊

「海外たすけあい」へのご協力をよろしくお願いいたします。