(速報)西アフリカ エボラ出血熱感染拡大防止のために

西アフリカのギニアで本年2月、感染者が発生したエボラ出血熱。隣国であるリベリア、シエラレオネそしてナイジェリアへも感染が拡大しています。

8月4日までに感染者は1711人に達し、そのうち932人が死亡(世界保健機関。以下、WHO)。特にリベリアとシエラレオネでは、連日感染者が増加しています。

エボラ出血熱はこれまで主に東アフリカで発生していました。しかし、今回の西アフリカでの流行は、これまでにない感染者数を記録しています。

赤十字は、これまでのエボラ出血熱流行時の対応経験を生かし、効果的な予防策の促進やこころのケア、医療従事者への感染防護服や医療資器材の配布などを実施しています。

感染症流行の背景

感染者を埋葬するシエラレオネ赤十字社のボランティア。細心の注意を払って埋葬されます

感染者を埋葬するシエラレオネ赤十字社のボランティア。細心の注意を払って埋葬されます

世界食糧機関(FAO)は、野生のオオコウモリがエボラウィルスの宿主動物である可能性が高いとしています。

感染は、感染者・感染動物の体液との接触・摂取により起こります。しかし、昔からオオコウモリを食べてきた西アフリカの人びとにとって、この危険性は理解しがたいものです。

エボラ出血熱の症状を呪術によるものと考え、病院などの医療施設ではなく、シャーマン(祈祷師)らに相談に行く人もいます。

また、エボラ出血熱の初期症状はマラリアなどの疾病と似ているために誤診も多く、隔離などの適切な措置が取られないこともあります。感染者が死亡した際の埋葬でも、遺体に直接接触しないように十分な配慮が必要です。

最前線で活動する医療従事者が感染することも多く、医師の不足が感染拡大につながっています。

エボラ出血熱に関する人びとへの正しい知識の普及が必須です。また医療従事者は、専門知識と厳密な防護服の着用方法などについて、十分な理解を深めなくてはなりません。現場で不足している医薬品や防護服などの医療資器材を支援していくことも必要です。

赤十字の活動 ~ボランティアのネットワークを生かす予防啓発活動~

赤十字は、地域社会から信頼され活動しているボランティアのネットワークと力を生かし、エボラ出血熱の感染拡大の予防に努めています。

初めて経験する致死率の高いエボラ出血熱について、現地では人道支援団体で働く海外のスタッフがもたらしたものだと考える人もいます。

しかし、赤十字のボランティアは、エボラ出血熱の流行以前から、地域に密着して活動してきました。そのため、彼らの説明は分かりやすく高い信頼を得ています。

それぞれの世帯を訪問しエボラ出血熱に関する正しい説明を行うほか、ラジオやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などを通じ、感染予防のための正しい情報を伝え、効果的な知識普及に努めています。

また赤十字は、予防原則に基づき、すでに4月から発生国の隣国であるコートジボワール、マリ、セネガルでも各国赤十字社ボランティアを中心として、エボラ出血熱に関する正しい知識の啓発活動を展開しています。これまでの活動で合計6カ国約1000万人に適切な情報提供を行ってきました。

日本赤十字社は、本年5月に国際赤十字の要請を受け、感染症の専門家として、日本赤十字社和歌山医療センター 感染症内科部副部長 兼 国際医療救援部 古宮伸洋(こみや のぶひろ)医師をリベリアに派遣し、現地で指導などを行いました。

国際赤十字の支援は発生国でのボランティアの教育や増員、啓発用資材、不足が深刻な医薬品や防護服などの医療資器材の供給などを中心に実施され、エボラ出血熱の感染拡大の予防に大きく貢献しています。

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