(速報)バングラデシュ洪水 緊急救援の新しい形

バングラデシュに配備された給水・衛生災害対応キット

バングラデシュに配備された給水・衛生災害対応キット(写真は浄水装置)

バングラデシュでは、8月半ばから続く大雨により、北部・北西部で大規模な洪水が発生しています。9月4日現在、300万人が被災し、その中でも約32万5000人が避難生活を強いられています。

バングラデシュ赤新月社(イスラム圏の赤十字社。以下、バングラデシュ赤)は、同国政府による合同調査チームの一員として現地のニーズ調査を行い、それに基づいて食糧や救援物資の配付を開始しました。

浄水装置は1時間に最大4000リットルの浄水が可能

浄水装置は1時間に最大4000リットルの浄水が可能

また、北西部で安全な飲料水が不足していることから、バングラデシュ赤が保有している「給水・衛生災害対応キット」を出動させて、クリグラム県で被災者に対する飲料水の供給を開始しました。

9月4日に同県に浄水ユニットが設置され、最初の一日だけで8000リットルの水が供給されました。

活動初日の9月4日には、機材設置後8000リットルの飲料水を被災者に配付

活動初日の9月4日には、機材設置後8000リットルの飲料水を被災者に配付

この「給水・衛生災害対応キット」は、日本赤十字社(以下、日赤)の支援によりバングラデシュに整備されたもので、昨年8月の整備完了後、初めて出動しました。

今後は3週間にわたり北部の被災地で飲料水の供給を行っていくほか、ポリタンクや浄水剤、衛生用品の配付、簡易トイレの設置やボランティアを通じた衛生普及活動など、衛生状態改善のための活動を総合的に行っていく予定です。

災害多発国にあらかじめ整備された「給水・衛生災害対応キット」

衛生環境の整備も重要な活動の一つで、簡易トイレ設置用資材もキットに含まれてます

衛生環境の整備も重要な活動の一つで、簡易トイレ設置用資材もキットに含まれてます(バングラデシュ運用研修、平成25年10月)

洪水や台風・サイクロンなどによる災害が近年世界的に増加し、安全な飲料水の供給や衛生状態の改善など、災害時の給水・衛生活動のニーズが高まっています。

赤十字は、災害時に効果的に給水や衛生活動を展開できるように「給水・衛生災害対応キット」を開発しました。

このキットには、浄水ユニットやタンク、水質検査キット、簡易トイレ設置用資材、衛生教育用の文具などが含まれています。浄水ユニットは1時間で4000リットルの浄水が可能です。

このキットの特徴の一つに、頻繁に災害に見舞われる国にあらかじめキット(資機材)を整備しておくという点が挙げられます。整備国の赤十字社のスタッフやボランティアがキットを活用することによって、災害発生時に迅速に救援活動を展開できることを目指しています。

日赤は、平成23年度からアジア・大洋州地域で給水・衛生災害対応キットの支援を行っています。これまでに、ネパール、バングラデシュ、ベトナム、東ティモール、インドに整備しました。これらの国で、国際赤十字を通じてキット資機材を災害多発国に整備するのに併せて、整備国の赤十字社のスタッフやボランティアの研修も支援しています。

日赤からも職員を派遣して研修を実施

各家庭での浄水方法の実演

各家庭での浄水方法の実演(バングラデシュ運用研修、平成25年10月)

今回の救援活動で使用されている「給水・衛生災害対応キット」は、昨年8月に資機材の調達が完了したもので、同年10月にはバングラデシュ赤の職員とボランティア27人を対象にした研修が行われました。

研修の内容は、キットを活用した救援活動を行うことを想定。

給水・衛生分野での活動のために必要な知識を身につけるための講義やグループワーク、資機材使用法を学ぶ実習、そして、あらかじめ作成されたシナリオに沿ったシミュレーション訓練などがバランス良く取り入れられたカリキュラムとなっていました。

シミュレーション訓練は、大規模な洪水が発生した想定で、救援活動の計画策定や関係者との調整、資機材の設置とその運用の実演など、研修で身につけた知識・技能を再確認する実践的なものでした

イラストを使った衛生教育の方法を説明する日赤看護師

イラストを使った衛生教育の方法を説明する日赤看護師。衛生教育も給水・衛生活動の重要な柱となっています(バングラデシュ運用研修、平成25年10月)

研修の開催にあたって、日本赤十字社からも看護師を派遣し、衛生教育に関する講義を担当したほか、資機材の実習やシミュレーション訓練でも技術的なアドバイスを行いました。

研修修了者はバングラデシュ赤の給水・衛生災害対応チームの要員として登録され、これまでのところ今回の洪水に対する救援活動に2人が派遣されています。

災害多発国にあらかじめ整備されている「給水・衛生災害対応キット」により、給水・衛生分野での迅速な救援活動が可能になっています。日本赤十字社は、今後もアジア・大洋州地域各国でのキット整備を積極的に支援していきます。

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