高カリウム血症

国際輸血学会( ISBT )では「輸血後1時間以内に血清カリウム値が>5mmol/L、或いは前値より>1.5mmol/L の増加を認めた場合を輸血による高カリウム血症(Transfusion-associated hyperkalemia)」と定義しています。国内では、輸血後GVHD の予防のために、輸血用血液製剤に放射線照射が行われているため、高カリウム血症への注目度が高くなっています。

赤血球製剤の上清中のカリウム値は、保存に伴い上昇し、特に放射線照射後はその速度が増加します。採血後14日のIr-RBC-LR-2 の上清中のカリウム総量は6mEq 程度であり、通常の輸血ではほとんど問題となりません。しかし、低出生体重児や腎不全患者、熱傷や外傷等の急速に組織の挫滅を伴う病態、大量輸血等のハイリスク患者では、カリウム濃度の急速な上昇により心停止等を起こすことがありますので、注意が必要です。

図:400mL採血由来照射赤血球液-LR「日赤」の上清カリウム濃度

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