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アナフィラキシー

重度な急性の全身性Ⅰ型アレルギー反応です。抗原(アレルゲン)による感作時に特異的な抗体(IgE抗体など)が産生され、再び同一の抗原が体内に入ると肥満細胞、好塩基球の表面に固着した抗体と反応して細胞からヒスタミン、セロトニンなどが一気に遊離され、血管透過性の亢進、平滑筋の収縮、粘液分泌の亢進などの即時型過敏反応を引き起こします。
臨床的には呼吸障害,ショック、蕁麻疹,悪心嘔吐,痙攣性腹痛,下痢などの症状がみられます。

アルブミン(Albumin)

アルブミンの組成は584個のアミノ酸がつながってできた、分子量が約6万6千の血漿タンパク質。血漿タンパク質の約55%を占め、血漿中に約4%の濃度(4g/dL)で含まれています。胃、腸、腎臓などで分解される。体内には体重1kgにつき約3gのアルブミンが蓄えられており、血液中に40%、残りは血管外の組織中に分布しています。主な働きは、血漿の膠質浸透圧の維持で、アルブミン1gの補給は血漿約20mLの増量効果に匹敵します。アルブミン量が低下すると膠質浸透圧が低下し、浮腫、腹水、胸水、ショック等につながります。もう一つの働きは、物質の運搬で、薬物、ホルモン、栄養素などと結合し体の各部に運搬し、また、各組織に蓄積した有害物質を肝臓や腎臓へ運び解毒作用を助けています。

異常型プリオン蛋白

プリオンの構成成分は、ほとんどの動物が保有している蛋白質の一種であり、正常型のものは運動神経を維持するのに必要なものと考えられていますが、異常型プリオン蛋白は、正常型の構造が変化したもので、遺伝子がないのに感染性を持つ、熱・消毒薬・紫外線や放射線に対する耐性が高い、周囲の正常型の構造を異常型に変換する、中枢神経系で正常組織を破壊するなどの性質を持つといわれています。

血管外溶血

溶血性輸血副作用の一つで、血管内で溶血する血管内溶血に対し、肝臓や脾臓などに赤血球が捕捉され溶血するものを血管外溶血と呼んでいます。抗DなどRh系抗体や抗Mなどの不規則抗体による不適合輸血で生じやすいといわれています。

血漿交換(Plasma exchange)

血漿中に存在する有害物質のうち蛋白質や蛋白質に結合する物質を除去する治療法です。
多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、劇症肝炎、薬物中毒、重症筋無力症、悪性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、血栓性血小板減少性紫斑病、重度血液型不適合妊娠、術後肝不全、ギラン・バレー症候群、天疱瘡、溶血性尿毒症症候群、ABO血液型不適合・リンパ球抗体陽性の同種腎移植患者などがこの治療法の保険適応になっています。

自己血輸血

同種血輸血は一種の臓器移植であり、同種免疫や移植片対宿主病(GVHD)、さらには免疫抑制作用など免疫学的副作用の他に、各種の輸血後感染症を引き起こすことがある。これらの同種血輸血によるリスクを避ける目的で自己血輸血が実施されるようになってきました。自己血輸血の種類は大まかに分類して貯血式、回収式、希釈式の3種類があるが、貯血式が主に適用されており、その約90%を占める。

シャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)

原虫Trypanosoma cruziの感染によって引き起こされる感染症です。サシガメという昆虫によって媒介されます。メキシコを含む中南米諸国の風土病で、感染すると数年から30年程度体内に潜伏したのち、心臓や消化器に重篤な疾患を起こすことがあります。原虫はサシガメの糞便中に存在し、サシガメの刺咬傷からヒトの体内に入り感染します。また、母子間感染、輸血、臓器移植、サシガメの糞に汚染されたサトウキビやアサイーの生ジュースによる経口感染も知られています。

成人T細胞白血病ウイルス(Human T-lymphotropic virus type 1; HTLV-1)

成人T細胞性白血病(adult T cell leukemia; ATL)の原因ウイルスです。日本には持続感染者が多く、約100万人ほどと推定されています。大部分の持続感染者はATLを発症しません。感染経路は従来、母児間の母乳からの感染が主でしたが、断乳により感染予防ができるようになりました夫婦間感染もありますが、ATLを発症したという報告はありません。

遅発性溶血副作用

輸血後数日(3~15日)して起こる溶血性の副作用で、急速な貧血と黄疸の出現が特徴的です。輸血時には検出限界以下であった抗体が、輸血された赤血球抗原による二次免疫応答により、数日後に抗体の産生が増加し血球を破壊することが原因です。
代表的な抗体として抗E、抗C、抗c、抗e、抗Jka等があります。

デング熱ウイルス

ヒトスジシマカ・ネッタイシマカなどの蚊によって媒介されます。潜伏期間は4~7日です。
デング熱は一過性の熱性疾患であり、発症時には悪寒を伴って急に高熱になりますが、3日ほどで急に37℃あたりまで解熱、1日おいて39℃まで上昇し、2日程度で再び急に解熱を示す、M字型の熱型が多いのが特徴です。
2014年、海外渡航歴のないデング熱感染者が東京都内を中心に多く発生しています。

トランスフェリン(Transferrin)

血清蛋白の一つで、肝臓で合成され、主として血漿中では鉄と結合し、骨髄や貯蔵臓器に鉄を運搬する働きをしています。
正常人では全トランスフェリン分子の1/3が鉄と結合しており、残り2/3が不飽和の状態で存在しています。トランスフェリンの鉄と結合しうる能力を総鉄結合能(TIBC)といい、標準値は成人で250~400μg/dlです。

ハプトグロビン(Haptoglobin)

α2-グロブリン分画に属する血清蛋白の一つです。溶血などにより生ずるヘモグロビンと結合したり、細網内皮系でのヘモグロビンの貧食を助ける働きがあります。

ヒトパルボウイルスB19(Human parvovirus B19)

伝染性紅斑などの感染症の原因ウイルスです。ほとんどの人が一生のうちに感染し、不顕性感染が多く、症状があっても軽いことがほとんどです。感染経路は経口感染、飛沫感染、輸血による感染、経胎盤感染(胎児水腫の原因ウイルス)などがあります。

ヒト免疫不全ウイルス(Human immunodeficiency virus: HIV)

後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome; AIDS)の原因とされるRNAウイルスです。HIVの糖タンパク質は、ヒト免疫調節機能にかかわっているリンパ球などが主として持っているCD4レセプターに特異的に反応を起こし、細胞に侵入して破壊するため免疫不全が起こります。HIV-1、HIV-2に大別されます。

ヘモグロビン

赤血球に存在する蛋白質で、ヘムというプロトポルフィリンと鉄の化合物とポリペプチドのグロビンとから構成されています。肺で酸素と結合し末梢組織へ運搬し、二酸化炭素を運び出す役割を担っています。

免疫グロブリン

抗原と特異的に反応する抗体のことで、B細胞より分化した形質細胞により産生・分泌されます。IgG、IgA、IgM、IgD、IgEがあります。

輸血関連急性肺障害(transfusion related acute lung injury; TRALI)

発症時に適切な処置が行われないと死亡につながる危険性のある重篤な非溶血性輸血副作用であり、輸血開始後数時間以内に急激な肺水腫による激しい呼吸困難を呈し、呼吸困難に伴う頻脈、発熱、血圧低下(重篤な場合)も起こします。
抗白血球抗体と白血球との抗原抗体反応により間接的に肺の毛細管に損傷を与えることで発症すると推測されていますが、詳細は解明されていません。

輸血関連循環過負荷(transfusion associated circulatory overload; TACO)

輸血に伴う循環負荷による心不全であり、呼吸困難、頻脈、血圧上昇などを認めます。
胸部X線で肺浸潤影など心原性肺水腫の所見を認めることがあります。輸血後6時間以内の発症が多いです。

輸血後移植片対宿主病(post-transfusion graft versus host disease; PT-GVHD)

輸血に伴って発生する移植片対宿主病(GVHD)は、輸血血液中に含まれるリンパ球が患者の組織を破壊する疾患です。
輸血後1~2週後に発熱と紅斑で始まり,肝機能障害・下痢・下血が出現後,骨髄無形成による汎血球減少症を呈し、敗血症等の重症感染症や大量出血により輸血後3~4週で死亡する例が多いです。日本赤十字社ではこの疾患の予防策として輸血用血液製剤に対する放射線照射を行っています。

A

ABO血液型

1901年 Landsteinerによって発見された血液型で, A型,B型,O型およびAB型の4つの型に分類されます。
A型赤血球はA抗原、B型赤血球はB抗原、AB型赤血球はA、B抗原の両方を持っていて、O型赤血球はA、B抗原の両方を持っていません。

B

B型肝炎

B型肝炎ウイルスの感染により発症する肝炎で、主として血液製剤や母児感染、性行為による感染、汚染された注射器による針刺し事故による感染があります。一過性の感染と持続感染があります。

C

C型肝炎

C型肝炎ウイルスの感染による肝炎です。C型肝炎ウイルスに感染すると約70%がC型肝炎ウイルスの持続感染者となり、放置すると慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進展する場合があります。C型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。

CMV(Cytomegarovirus)

CMVは、1956年Smithにより分離されたherpes virusに属するDNAを持つ正20面体、分子量150×10、粒子径180~250nmのウイルスで、無症候性キャリアの人の血液(白血球)、唾液、尿、精液、膣分泌液、涙液、各種臓器中に存在し感染源となります。感染様式は、垂直・水平感染があり、多くは幼児期の不顕性に初感染し、seroconvertionwoを起こします。成人では、年齢差はあるものの90%以上(30歳以上)がCMV抗体を保有し、ヘルペスウイルスの特徴として一度感染を受けると生体内臓器、白血球に生涯にわたって存在し持続感染の形をとります。CMV抗体が陰性の先天性免疫不全、骨髄移植、白血病等で、免疫機能が低下している患者及び未熟児へのCMV抗体陽性血液の輸血により、間質性肺炎等の重篤な症状を呈することがあります。これらの患者への感染を防止するため、医療機関からCMV陰性血液の供給を依頼された場合に備え、血液センターではCMV抗体陰性の献血者の登録を行い対応しています。

D

E

F

G

H

HIV(Human immunodeficiency virus)

HIVは、AIDSの原因ウイルスで、直径約100nmの球形のレトロウイルスです。外皮は表面糖タンパク及びトランスメンブレン糖タンパクからなるエンベロープ糖タンパクが埋め込まれた脂質二十膜で構成され、その内臓にはマトリックス糖タンパク、コア糖タンパク、更に中心には、RNAや逆転写酵素(RT)が存在した粒様体がみられます。1981年米国において、男性同性愛者の間でカリニ肺炎、カポジ肉腫が多発したことを契機に疫学調査が実施され、その結果、麻薬常習者、血友病患者、輸血患者等に同疾患が確認され、1982年、原因不明の新しい疾患として後天性免疫不全症候群(aquired immunodeficiency syndorome; AIDS)またはエイズの名称が導入されました。1983年、AIDSの原因ウイルスとしてHIV-1が、また1986年に第二ウイルスとしてHIV-2が発見されました。HIV-1は全世界に広く流行しているが、HIV-2は西アフリカに局在しAIDS発症までに長時間かかる特色があります。HIVが検出されるのは、患者の血液、精液、分泌液、唾液、母乳、尿、涙等の体液や組織、臓器です。感染源として重要なのは、感染者の血液、精液、分泌液で、その他の体液はウイルス量が少なく感染の危険性は少ないといわれています。

I

J

K

L

M

N

O

P

Q

R

Rh血液型

LevineとStetson(1939)、LandsteinerとWiener(1940)がそれぞれ発見した血液型です。型不適合輸血や妊娠によるヒトの同種免疫抗血清で検出される血液型の1系統で、輸血にはABO血液型に次いで重要な血液型になります。

S

T

TACO(Transfusion-associated circulatory overload; 輸血関連循環過負荷)

TRALI(Transfusion-related acute lung injury; 輸血関連急性肺障害)

TACOとTRALIについては、下記のページをご参照ください。

TRALI/TACOについて

U

V

vCJD(variant form of Creutzfeldt-Jacob disease)

変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のことです。脳の病変部にアミロイド斑が形成される神経難病の一つです。
症状がアルツハイマー病に類似しているところがあります。
発症すると、抑うつ、不安などの精神症状で始まり、進行性認知症、運動失調症を呈し、発症から1~2年で全身衰弱、呼吸不全、肺炎などで死亡します。
ヨーロッパ(特にイギリス)では、ウシ海綿状脳症(BSE、狂牛病)を発症した牛肉を摂取することで変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発症するのではないかとされています。

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