バングラデシュ南部の避難民キャンプで 日赤が建設を進める新しい診療所

2017年8月からキャンプでの生活を余儀なくされているバングラデシュ南部避難民たち。 2年もの間、支援を続けてきた日赤の活動と現地の現状をリポートします。

サイクロンなどの災害に備えて 診療所の建て替えに着手

手洗いの指導法を地元看護師へ伝える清水看護師

日本赤十字社はバングラデシュ南部避難民を支援するため、2017年から医療チームを派遣し、現地の医療スタッフやボランティアとともに巡回診療や仮設診療所を拠点とした医療活動などに取り組んできました。現在、避難民キャンプで暮らしている人々はおよそ90万人。今もなお先行きの見えない中で、これからも中長期的なサポートが必要な情勢となっています。

 今年6月、日赤は新たな支援活動をスタート。それは、仮設診療所の建て替え工事です。もともとあった仮設診療所はサイクロンや大雨に耐えられるものではなく、プロジェクトマネージャーとして現地入りしている清水宏子看護師(名古屋第二赤十字病院)は「竹とビニールのテントで雨風をしのぎ、雨期には土台が崩れそうでした」と語ります。周辺は、雨が降ると泥水が道いっぱいに流れ込むことも多く、脆弱(ぜいじゃく)な地盤のため地滑りの危険もある土地。建設中の新しい診療所は、しっかりと固めた土台の上にプレハブ造りの建物が建つ予定です。

現地の人々が植える苗木とともに “私たちの診療所”へ成長

外観が出来上がりつつある診療所(2019年8月撮影)

 新しい診療所の敷地内では、土砂災害を防ぐ役割を期待して、下草や苗木を植える作業が進められています。「以前ははげ山だった避難民キャンプ全体に、木々が生い茂ってきた」と清水看護師。現地スタッフたちは「診療所が完成したら、それぞれが好きな苗木を1本ずつ植えて“私の木”として大切に育てたいね」と夢を語っています。

 診療所はこれまで日赤が運営してきましたが、「今後は現地の医師や看護師たちに診療所を受け渡していかなくては」と力を込める清水看護師。現地の人々が“私の木”を育てる新しい診療所は、本当の意味で“私たちの診療所”へと変わっていくのです。

 建設工事中は近隣の仮設診療所で診療を継続していますが、再開を求める声も多く、人々に求められている診療所であることを痛感している日赤チーム。避難民の支えとなる新しい診療所は、まもなく完成予定です。

※国際赤十字では、政治的・民族的背景および避難されている方々の多様性に配慮し、「ロヒンギャ」という表現をしないこととしています。

この記事は赤十字NEWS 2019年9月号の掲載内容をオンライン用に編集したものです。
赤十字NEWS紙版は下記からPDFでご覧いただけます。

PDF版を見る