豪雨被災地で頑張る地元ボランティア(熊本編) コロナ禍で県外ボランティアの支援を受けられない!厳しい状況下で奮闘する赤十字ボランティアの声をお届けします!

7月3日~8日に九州を襲った豪雨により、河川の氾濫が相次ぎ、その被害は九州全域に広がりました。しかし、被災した各地では新型コロナウイルス感染症の影響により他県ボランティアの支援を受け入れない方針に。甚大な被害が出た熊本県でも、災害復興は県内ボランティアの肩に委ねられました。

日赤熊本県支部では発災直後から支部内に赤十字ボランティアのためのセンターを開設。赤十字ボランティアは支部で備蓄していた救援物資の積み込み〈❶〉など精力的に活動を開始。配付する緊急セットに不備がないよう電池交換を行ったり〈❷〉、支援物資の仕分けやパッキングをする〈❸〉など支部内での作業の他、県内各地の地域赤十字奉仕団はタオル収集や被災地災害ボランティアセンターでの運営支援にも参加〈❹・❺〉、赤十字飛行隊熊本支隊も被害の大きい事業所からの要請に応じて地上支援に駆けつけ〈❻〉、それぞれが自発的な活動を展開しました。

県外だけでなく町外のボランティアも受け入れなかったあさぎり町で活動した球磨郡地域奉仕団の尾曲恵子委員長は「やっぱり赤十字奉仕団ですから、何かあったらお助けしたいって気持ちでいっぱいなんです」と語りました。

【青年奉仕団】熊本地震の反省から開発した「びっくりモン」、次の災害に備えてさらにアップデートします

「びっくりモン」:日赤災害ボランティアセンター運営ゲーム

7月4日から、熊本県青年赤十字奉仕団(以下、青奉)は支部内で活動を開始。委員長の沼川晃範さんは「支部は職員も少ない中、被害の情報収集や関係機関との連絡など、迅速に対応しなければならないことがたくさんあり、サポートに入りました。私たちは青奉の先輩が作った『びっくりモン』で災害発生時の訓練をしていましたが、実際の災害は訓練と違う。青奉としての” 備え“ について、考える機会になりました」と述べました。学生中心の熊本の青奉は、夏休みを利用して被災家屋の清掃ボランティアにも参加しました。

【救急奉仕団】熱中症にかかるボランティアを救急法指導員の赤十字ボラが介助!

「毎日、ボランティアの活動場所を巡回し、熱中症予防や応急手当てに尽力しています」( 堀さん・写真右)

「 この暑さで、膝の高さまでたまった泥の中で泥かきをする。被災家屋の清掃作業は過酷です。巡回中、3日に1人は熱中症の初期症状が出る方がいます」。救急奉仕団の堀徹男さんは連日休みなく活動する理由をこう語りました。
 堀さんは赤十字救急法を学んで25年、救急法指導員として講習普及に努めています。救急法を学んだきっかけは、20代のころ電車の中で倒れた人に何の処置もしてあげられなかったから。今の堀さんは救急法の知識とスキルがあり、熱中症なら早期発見することで倒れる前に助けることができると知っています。
「被災地には寸断された道もあり、救急車が到着するのに50分以上かかるんです。ボランティアが活動する場所で重い熱中症になったら命に関わる。ボランティアの命を守るため、救急奉仕の活動に専念しています」

【地域奉仕団】困っている人がいるのに、じっとしていられない! 災害ボランティアセンターで県内ボランティアを支援!

「支援を長く続けるため、シフトを細かく組むなど工夫しています」(三栗野委員長・写真右端)

八代市災害ボランティアセンターの運営支援を行う、八代市地域奉仕団。委員長の三栗野惠美子さんはこれまでの活動を次のように振り返りました。
「赤十字奉仕団と言えば炊き出しでしょ?でも数百人ぶんの炊き出しをするのは食中毒の不安があるからと行政から止められたんです。被災された方のために何かしたい、と悶々としているときに、日赤熊本県支部から災害ボランティアセンターの運営スタッフが不足しているとの情報提供がありました。うれしくて、そのお話に飛びつきましたね」
 センターでは来所されたボランティアの受付補助と、作業場から戻ってきたボランティアのおもてなしをする地域奉仕団。受付では新型コロナ対策で検温と手の消毒が必須、作業中も密を避けるようにするため、活動の負荷や制限が多いそうです。三栗野さんは「災害で大変な思いをしている方々のために、奉仕団のみんなと工夫しながら最後まで活動を続けたいです」と語りました。