これからの赤十字 vol.2

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堀 乙彦

事業局 国際部長

急激に変化する人道危機への対応

国際部における現在の取り組み

近年、紛争は長期化・常態化し、災害は大規模化しています。一方、技術革新により交通手段が発達し、インターネットやスマートフォンなどの通信手段が普及しました。その結果、感染症患者が国境を越えて簡単に拡散する危険性が高まり、また、情報過多や誤った情報の流布により、混乱を招きやすくなっています。

今、世界は12,500万人を超える人々が人道支援を必要としており、紛争などにより避難生活を余儀なくされている人々は、第二次世界大戦後最大の6,000万人に上っています。

人道危機に対して、もはや一国の枠組みを超え、単独で対処できる国家や組織はありません。

日本赤十字社の資金や人的資源にも限りがあります。その中で、国際赤十字の優先度の高い人道課題に取り組んでいます。国内と国際の活動を十分に連携させる必要があります。190か国の姉妹赤十字社と一緒に課題を解決していくことで、他の赤十字社の良い所を日本赤十字社の国内活動に取り入れ、逆に国内活動の良い所を他の赤十字社と共有することができるはずです。双方向で問題を解決できるように、姉妹赤十字社と連携して活動しています。

国際部、そして赤十字のこれから

国際活動.JPG紛争や災害が起きたとき、最初に対応するのは地域の人々です。どんなグローバルな人道課題であっても、当事者・当事国にとっては、地域の、国内の問題なのです。地域の対応力を強化することで、被害も小さくなり、予防にもつながります。

地域で活動するボランティアの力が重要になってきています。シリア国内など紛争地で活動できるのは唯一、元々そこに住んでいた人たちです。西アフリカで猛威をふるったエボラ出血熱でも、地域の言語や習慣を理解している地元のボランティアが活躍しました。

現在、個人ボランティアをはじめ、多くのNGOや団体も人道支援に取り組むようになり、人道支援をおこなうプレーヤーが多様化しています。このことは、人道支援に多様なリソースをもたらす一方、まとまりのない支援につながるリスクがあり、そのマネジメントが重要になってきます。

職員だけでなく、地域のボランティアや多様なプレーヤー、そして赤十字の活動を応援してくださっている会員や企業・団体のみなさまとのパートナーシップを生かし、急激に変化する人道危機に対応していく必要があります。赤十字は、そのための人道支援プラットホームづくりを進めて行く必要があると考えています。

自身の「赤十字人」としての体験談など

一番印象に残っている出来事は、90年代前半に北方四島へ医薬品などの救援物資を届けた時のことです。救援船はロシアの警備艇に囲まれました。

北方四島は我が国固有の領土ですから、国からはパスポートの提示をしないように求められていました。そこで私は、パスポートの代わりに赤十字の国際身分証を提示し、上陸が認められました。

その時に感じたことは、「赤十字は、その活動を求める人々がいれば国境を越える力を持つ」ということです。赤十字は、ある瞬間、自由に国境を越えることのできる翼を持つことができるのです。

次の世代へのメッセージ

「赤十字に支援を求める人は、赤十字を最後の拠り所にしている」

これは、入社時に大先輩に言われた言葉です。真に支援を必要としている人たちにサービスを提供していくことが私たち日本赤十字社の使命です。

だからこそ、私たちは”法匪”(ほうひ)にならないよう心がけなければなりません。もちろんルールは大切であり、有効ですが、それに固執し過ぎて、その先にいる支援を求めている人々を見失ってしまうことは、本末転倒です。