地震で被災したスラウェシ島に希望を届ける日赤の支援 2018年9月28日、インドネシアのスラウェシ島でマグニチュード7.4の地震が発生。 約1年にわたる赤十字の支援活動と、被災者たちの現状をリポートします。
赤十字の支援を受けながら 力強く前を向く被災者たち
2018年9月に発生したインドネシア・スラウェシ島地震では、建物の崩落や地滑り、地盤の液状化、そして高さ数メートルに及ぶ津波が住民たちを襲いました。政府の発表によると、これまでの死者は2830人に上り、17万人以上 の人々が避難を余儀なくされました。日赤は地震発生直後から、インドネシア赤十字社などと協力しながら活動を続けてきました。
およそ1年にわたる支援によって、被災した住民たちにはさまざまな形で“希望”が届けられています。赤十字が各地に建設した仮設住宅もその一つ。盲目のアリさんは一人で家にいる時に地震が発生。揺れによるゆがみが生じたのかドアを開けることができず、窮地に陥りました。しかし、アリさんは外に通じる窓の配置を正確に覚えていたおかげで、奇跡的に屋外へ脱出。自宅は壊滅的な被害を受けましたが、現在は一人娘のヘニーさんとともに仮設住宅に身を寄せています。
医療や住居などの支援に加えて、今年2月にはパル市で子どもたちにペンやノートが一式入っている「スクールキット」の配布も実施。地震や津波の被害を受けて学校に通うこともままならない子どもたちに、赤十字ボランティアからスクールキットが手渡されると、子どもたちはもちろん見守る大人たちからも喜びの声があがりました。
被災者からボランティアへ転身 コミュニティのつながりが力に
外部からの支援だけでなく、地元の人々の支え合いもまた、被災者たちの心のよりどころとなっています。地震発生後、夫と山の中に1カ月もの間逃げ込んでいたというシスカさん。現在、夫と母親の3人で仮設住宅で暮らしながら、インドネシア赤十字社のボランティアとして活動中。参加した理由を、彼女は「地震で生き残った者同士、共感できる部分がたくさんある」と語りました。
少しずつ被災者に笑顔が戻ってきたとはいえ、被災したすべての人々に十分な支援が行き渡っているわけではないのも実情。赤十字もこれまでと同様に関係機関やボランティアたちと手を取り合いながら、スラウェシ島地震の被災者に対する支援活動を続けていきます。