WORLD NEWS:「新型コロナ」から村を守れ! 防災ボランティアの活躍 インドネシアの小さな村にも忍び寄る「新型コロナウイルス」。日赤の防災事業で育成されたボランティアたちは自ら立ち上がり、コロナ禍の村々で活躍しています。
防災ボランティアの始めた活動が、村の人々の支えに
日赤とインドネシア赤十字社は、自然災害の多発するインドネシアの村々で、住民の防災力・減災力を高める「コミュニティ防災事業」を推進してきました。2016年4月に始まり2020年3月で終了しましたが、この事業で育成された防災ボランティアCBAT(シーバット)が、インドネシアの新型コロナウイルス感染者対策で大きな役割を果たしています。
インドネシアにおける新型コロナウイルスの感染者数は60万人を突破し、東南アジア最多を記録。その渦中で、CBATたちは自分たちの判断で、村役場やモスク、集会所に赴き、消毒液の散布などの衛生活動を始めました。村の行政からも消毒薬購入などの予算がつき、毎月第3週は村落の消毒作業を村から任されています。さらに、人々が行き来する商店などに対しては来店客が手を洗ったりマスクをしたりする場所を用意するようアドバイスし、店に実践してもらうなど、隅々に目を配っています。
CBATは行政に公式に認可された活動団体です。CBATと認められた人に支給される青いユニホームには日赤の社名もプリントされ、それを身につけることは彼らの誇りでもあります。
人間中心の開発協力。人々が「立ち向かう力」をつけるために…
日赤の行う支援は「人間中心の開発協力」です。重要なのは、地元の人々の持つ力を存分に生かして、問題を解決する力や災害に立ち向かう力を身につけてもらうこと。日赤の実践的なトレーニングによって、現地ボランティアたちは中長期的に計画を立て、行政から資金提供を得られるようにプレゼンテーションのスキルも身につけました。
2020年9月から、日赤とインドネシア赤十字社は新たな事業をスタートさせました。次は学校や家庭、そして村の防災力を向上させることが目標です。11月にはコロナ禍をふまえた防災訓練も実施されました。新型コロナウイルス感染症の脅威はまだ続いていますが、赤十字の活動を通じて、人々が災害のみならず感染症に立ち向かう力も高めていきます。
【世界で生かされる皆さまのご支援】 防波堤になるマングローブの苗を育てた数「2万9700苗」
日赤が支援したインドネシアのコミュニティ防災事業。その1つが、地域住民も積極的に取り組むマングローブの植林です。
水辺に生育するマングローブは、津波や高潮の被害を抑制する防波堤としての役割も担うことができる植物。インドネシアではサイクロンや洪水の被害も大きく、マングローブの植林は災害時の安心につながります。
また、マングローブの根元には小さな魚やエビが、花にはミツバチが集まるため、そこで得られる魚介類や蜂蜜(はちみつ)が生計を立てることに役立ち、住民の生活向上に大きく貢献しています。
日赤が育成した防災ボランティアの1人は「赤十字の支援を受ける前は、自分の知識や経験で人の命や健康を守れるなんて想像もできませんでした。活動から学んだ一番大切なことは、自分たちの行動で村を変えていけるということです」と語りました。