3度目のロックダウンに 疲弊するマレーシアで、 ワクチン接種を赤新月社がサポート COVID-19の感染拡大が止まらないマレーシアでは、市民の中でも特に社会的弱者の困窮が問題となっています。現地に派遣されている日赤職員に話を聞きました。
食料および衛生キットを95万人へ。困窮する人々を救うマレーシア赤新月社
リポーター:国際赤十字・赤新月社連盟 アジア大洋州地域ユース担当 平井万理子
今なお猛威を振るうCOVID-19対策について、赤十字は世界中でさまざまな支援を展開しています。マレーシアの首都・クアラルンプールにある国際赤十字・赤新月社連盟(以下、IFRC)のアジア大洋州地域事務所には、昨夏から日本赤十字社職員の平井万理子が出向しており、アジア大洋州地域の赤十字・赤新月ユースボランティアの活動を促進する任務に従事しています。
「マレーシアでは5月末に人口あたりの新規感染者数がインドを超え、3度目のロックダウンの終わりがいまだに見えない状況です。特に感染が拡大している地域は局地的に封鎖され、規則違反者には罰金などが科される厳格な行動制限が敷かれるに伴い、住民の孤立や経済的困窮が深刻な問題となっています。マレーシア赤新月社は行政と連携し、ボランティアによる戸別訪問も行い、支援が必要な家族や個人を選定。これまでに95万人以上に食料および衛生キットの支援を行ってきました。他にもマレーシア国内にいる2万人もの赤新月ボランティアは、ホットスポットと認定された建物の除菌活動も行うなど、各地で精力的に活動を展開しています」
一人でも多くの人を救うワクチン接種。寝たきりの人には自宅訪問も
マレーシア赤新月社はワクチン接種プログラムの国家タスクフォースのメンバーに任命され、ワクチン接種のためのボランティア管理や接種センター運営支援などの活動を展開しています。
「寝たきりなどで接種センターに足を運べない方については、マレーシア赤新月社の医師・看護師のボランティアチームが自宅を訪問してワクチン接種を行っています。また接種センターへのアクセスが難しい地域には移動クリニックを派遣。そのほか無国籍の移民の方々にもワクチンが行き渡るよう支援するなど、COVID-19によって最も影響を受けた社会的弱者の安全・福祉・生活を守ることを使命に活動しています」
同社の活発な活動は広く市民に知られており、さらにマレーシアでは高校までのすべての公立学校に赤新月クラブが設置されているため、若い世代にもボランティアや技術研修などを通した人道教育が行われているとのこと。
「私が担当するユースボランティアたちにも赤新月クラブ出身者が多く、この状況下で積極的に活動しています。オンラインでの子どもたちへの支援を新たに始めるなど、時代の変化やニーズに合わせて行動する彼らの熱意とパワーを頼もしく感じています」