赤十字 名所紀行 vol.6 ニッポンの赤十字ゆかりの地を巡る
日本・トルコ友好の証し、約130年前の遭難救護を今に伝える
明治23年9月16日、本州最南端、和歌山県樫野埼(現東牟婁郡串本町大島)沖で、トルコの軍艦エルトゥールル号が暴風雨のため座礁沈没し乗員587人が命を落とす大事故となりました。明治天皇にオスマン皇帝からの親書を奉呈する大役を務めた、オスマン・パシャ特派大使海軍少将の一行が横浜港を出港してわずか2日後の出来事でした。地元住民による懸命な救難活動で奇跡的に救われた乗組員69人は神戸へ搬送され、日赤などが派遣した医師・看護師による治療を受けました。言語や習慣の違いを乗り越えた献身的な看護のかいもあり、10月10日、明治天皇が遣わした日本の軍艦で生存者全員がトルコに帰還することができました。これは日赤が初めて外国人を対象に行った救護活動として知られ、エルトゥールル号の模型や遺品などが展示されるトルコ記念館に隣接して平時国際救護発祥の地碑が建てられています。