赤十字名所紀行 「氷川丸」 ニッポンの赤十字ゆかりの地を巡る<Vol.8>
かつて病院船としても活躍した、現存する貴重な産業遺産
横浜の観光スポット・山下公園の目の前に係留されている氷川丸は1930年に完成、戦前の日本で建造され現存する唯一の貨客船として国の重要文化財にも指定されています。今から90年前、貨客船として横浜とシアトルを往復していた氷川丸は、第2次世界大戦中の1941年11月に海軍に徴用され、病院船へと改装されました。国際条約に則り、船体と煙突は白色塗装、船体側面には緑色の1本の帯が施され、両舷の中央と煙突に計5個の赤十字マークが描かれました。造りが大変頑丈な氷川丸は、任務中3度にわたり触雷するも厚い鋼板に守られ大破・沈没を免れました。終戦までの3年半の間、ラバウル、ジャカルタ、サイパン、マニラなど計24回の航海で3万人もの戦傷病兵を輸送。現在も博物館船として公開されており、船内を見学することができます。