新年のご挨拶 「"分断"を乗り超える"連帯"」 日本赤十字社社長 大塚義治 新年のご挨拶
新しき年を迎え、皆様のますますのご健勝とご清栄をお祈りするとともに、常日ごろ、日本赤十字社の活動に温かく力強いご支援をいただいておりますことを心から感謝申し上げます。
新型コロナウイルスの感染が確認されてからすでに2年を超えましたが、世界はいまだ懸命にパンデミックとの戦いを続けている状況にあります。
昨年の新年のごあいさつの中で私は、「何よりも憂慮されるのは、社会における“分断”が拡大したことだとも言われ、もしそうであるならば、私たちが取り組まなければならない新たな課題が生まれていることを意味しているのかもしれない」と申しました。
実際に、ウイルスへの恐怖がいわれない偏見と差別を生み、時には赤十字病院で働く医療スタッフなどに対しても、心ない言葉が投げかけられるようなことがあったと耳にしました。
しかし、そんな時に励まされ、勇気づけられたのは、それらをはるかにしのぐ多くの方々からの応援の声と心のこもったお力添えでした。
私たちはこの経験を通じ、「新型コロナウイルスに立ち向かうために必要なのはワクチンや薬だけではない。この“人々が支えあう力”が最大の武器となるのだ」と気づかされました。“分断”を乗り超える“連帯”こそが、我々が手に入れるべきものだと思うのです。
これまでの困難な状況の中、日赤の内部でも、支部、施設、本社の各部門・各部局が、積極的に相互に協力し、連携し、工夫を凝らして対応してくれました。それは、卒直に言って、私が想像していた以上のものでした。私は、日赤が秘めている「底力」と言うべきものを目の当たりにした思いがして、少し心を動かされました。
国内外の急激な社会変動の中にあって、私たちが直面する課題は、新型コロナウイルスのような感染症に限りません。さまざまな人道問題が国境を越えて拡大し、“変異”を続けています。日本赤十字社は、これからも世界の仲間たちと手を携え、地道に活動を続けてまいります。本年も、これまで同様、温かいご理解と力強いご支援をたまわりますよう、よろしくお願い申し上げます。