【献血まるわかり辞典】vol.5「万能血」 「なるほど!」と思わずヒザを打つ“献血にまつわる豆知識”を紹介。 第5回のテーマは輸血に関するうわさの真実に迫る「万能血」です。
AB型=万能血説を可能にする
血漿の「成分輸血」のヒミツ
「O型は他の血液型にも輸血できる」…これは“輸血の種類”によっては正解ではありません。むしろ、「AB型だけが他の血液型にも輸血できる」、つまりAB型=万能血と呼べるケースもあります。
現在の輸血は、患者が必要とする成分で種類が分かれます。
(1)赤血球
(2)血小板
(3)血漿(けっしょう)
(4)血漿分画製剤(血漿からさらに細かく成分を抽出したもの)
(5)全血(成分を分けない血液)
この5種類の中でO型が他の血液型にも輸血できるのは(1)赤血球の輸血です。
ABOの血液型は赤血球の表面にある抗原と、血漿の中に含まれる抗体によって決まります。
赤血球表面にA抗原を持つ人が血液型「A型」で、A抗原もB抗原もゼロの人がO型です。
また、抗体とは、自分にない異物=抗原に抵抗する物質で、例えばA型の人にはB抗原に反応する抗体「抗B」があります。
赤血球の輸血の場合、O型には抗原がないので、A・B・AB型の人が持っている抗体が反応しないため輸血可能ですが、血漿の輸血では状況が変わります。O型の血漿には「抗A」「坑B」の抗体があり、A・B・AB型の人の抗原が反応します。抗原と抗体(例えばA抗原と「抗A」)が体内で接触すると、赤血球が壊れる“ 溶血” という現象が起きてしまいます。
AB型の血漿には「抗A」「坑B」の抗体がないため他の血液型に血漿の「成分輸血」をすることが可能です。
しかし一方で、実際にはどの種類の輸血であっても、万全を期して、ほぼ同型同士のみで行われています。