ムーミンの生みの親「トーベ・ヤンソン」と、赤十字 世界各国で親しまれてきたフィンランド生まれのムーミン。8月9日(作者トーベ・ヤンソンの誕生日)は『ムーミンの日』です。
日本でも老若男女から愛されているフィンランド生まれのキャラクター、ムーミン。作者のトーベ・ヤンソンと赤十字の間には、深いつながりがあります。
1945年のムーミン誕生よりも前、1930〜1940年代にいちアーティストとして活躍していた若かりしヤンソンは、フィンランド赤十字社のポストカードをデザインしており、その後もたくさんのコラボレーションを重ねていきます。
1964年、同赤十字社のためにムーミンとその仲間たちのイラストを制作し、子どもや若者に向けたパンフレットに掲載しました。ヤンソンはパンフレットの中で赤十字についてこう説明しています。
「赤十字は、病気や空腹、孤独な人々、事故の犠牲者、戦争で負傷した人々など、困っている全ての人を助ける団体です」
赤十字の理念について深い理解を持っていたヤンソンと赤十字の絆は、読書月間キャンペーンやバレンタインデー・キャンペーンなどに引き継がれ、赤十字オリジナルのムーミンのイラストが描かれたコラボグッズが発売されると、わずか2、3カ月で多額の支援が集まり、フィンランド赤十字社の活動の原資となりました。
1963年、同赤十字社のために描かれたムーミンのイラスト(上の図)は、学童向けのパンフレットや時間割として活用され、それらはフィンランド語とスウェーデン語の両方で発行されました。
赤い花が咲き乱れる様子、ほうきを持つリトル・ミィ、はしごを登るムーミン、火を囲んで友達と過ごすスナフキンなどヤンソン独自のスタイルで描かれた親しみやすい作品です。
一見楽しそうなイラストですが、ヤンソンはムーミンの物語を通じて、孤独とは何かを掘り下げ、その予防策や克服方法についても提示しています。
”Mooments of Kindness”『小さなことが大切、どんな小さな一歩でも、変化をもたらすことができる』がコンセプトとなっているこのイラストには、ヤンソンが大切にした「他者への思いやり」がたくさんつまっています。
赤十字のために描かれたムーミン
食器の売り上げの一部が寄付に
イッタラをはじめ、ロイヤル コペンハーゲン、ウェッジウッドなどの洋食器ブランドの販売を日本で手掛けているフィスカース ジャパンは、8月9日の「ムーミンの日」に、売り上げの一部が赤十字に寄付される商品を世界一斉発売します。
この商品は「Moomin by Arabia(ムーミン バイ アラビア)」として世界的人気シリーズの新作で、今回のデザインは、全てムーミンの作者トーベ・ヤンソンが1963年にフィンランド赤十字社のために描いた原画を使用しています。
赤十字とフィンランドに本社を置くフィスカース社がコラボした今回の商品には『一人一人の小さな思いやりの行動がより良い世の中の実現につながる』というコンセプトが込められています。
フィスカース社の担当者は「今、私たちの世界には優しさと団結力が必要です。ムーミンファミリーは思いやりと配慮を持ち、優しさの力を発揮するお手本です」と商品に込めた思いを語っています。