赤十字はじめて物語【Vol.5 赤十字病院】 日本赤十字社の9つの事業 その出発点にはそれぞれの「はじまり」のストーリーがありました。

「赤十字病院」看護婦生徒の卒業式
1894年(明治27年)4月、「第2回 看護婦生徒卒業式」の記念写真。前列中央の男性2人のうち、左が佐野、右が橋本

救護員育成のために赤十字病院を設立した2人の医師

 現在は全国に91カ所あり、各地域の医療を担う赤十字病院ですが、そのはじまりには2人の医師の救護活動への思いが強く反映されていました。

 博愛社(日本赤十字社の前身)創設者で医師でもある佐野常民は、西南戦争における救護員集めに大変苦労し、救護活動の難しさを痛感しました。同じく博愛社創設メンバーであり、西南戦争で官軍軍医として活躍し、陸軍軍医総監となった橋本綱常。盟友であり、志を同じくする2人の医師は、西南戦争の経験から女性救護員(看護婦)の重要性を唱え、その育成の場として1886年に博愛社病院(翌年、日本赤十字病院に改称)を開設しました。

初代病院長には橋本が就任し、開院式には皇后陛下(後の昭憲皇太后)もご臨席。最先端の医療を施せるよう当時の最新医療機器を備えた同院には開院当初から多くの患者が訪れました。

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