国内災害救護まるわかり辞典「線量計(原子力災害対応)」 日赤の救護活動についてさまざまな角度から紹介するこのコーナー。 今回は【安全な活動のための原子力災害対応】です。
東日本大震災において、日赤は発災直後に全国の赤十字病院から救護班を派遣し、救護活動を展開しました。
しかし、福島県内で救護活動を開始した救護班は、福島第一原子力発電所での爆発事故発生により、一時、救護活動を継続することができない状態となりました。当時、日赤として原子力災害に対応するための資機材やノウハウを有していなかったために、一部地域での活動を断念せざるを得なかったのです。救護のニーズがあるにもかかわらず、被災地から撤退することとなり、日赤にとって忘れることのできない経験となりました。
日赤はこの経験を踏まえ、原子力災害に対応するために、個人線量計などの資機材を全国の支部に整備するとともに、「原子力災害拠点病院」・「原子力災害医療協力病院」に指定されている各地の赤十字病院の医師と放射線技師を原子力災害医療アドバイザー(*)に任命することで、原子力災害時における被災地支部災対本部の支援体制を強化しました。
また、原子力災害における救護活動のガイドラインやマニュアルを策定し、日赤の行動指針を明確に定め、その指針に従い、現在においては、原子力災害対応研修を毎年2回実施するなど、救護班が放射線環境下で安全かつ安心して救護活動などに従事できるよう体制の強化に努めています。
*原子力災害医療アドバイザーは、全国の支部を6つに分けたブロック全てに配置されています。