新年のご挨拶 日本赤十字社社長 清家篤

力を合わせ、一歩踏み出す
2024年、日本赤十字社の新たな展望

president1228_4.jpgあけましておめでとうございます。年頭に当たり、皆さまにとって今年が良い年となりますことをお祈り致します。また日頃より日本赤十字社に賜っております温かいご協力とご支援に厚く御礼申し上げます。

旧年中世界はウクライナ人道危機の終息が見えない中で、10月には中東においてイスラエル・ガザの大規模な武力紛争も発生しました。また2月にトルコ・シリア、9月にはモロッコでの大規模地震、さらにハワイ・マウイ島での山火事、北アフリカ・リビアの洪水など、自然災害も多発しました。まさに赤十字ネットワークの底力の試される1年であり、いずれの人道危機についても国際赤十字が現地に根差した支援を展開し、日赤もそのサポートに尽力しました。この中で日赤の行った海外救援金の募集では全国の皆さまから多くのご寄付をいただき、現地の支援に役立てられています。

日赤はこうした人道支援とともに、赤十字国際委員会や国際赤十字・赤新月社連盟、そして世界各国の赤十字社・赤新月社と連携し、国際人道法とその根底に流れる理念の重要性を国内外に発信しています。昨年5月にはG7広島サミットに寄せて、赤十字国際委員会総裁と日本赤十字社社長の連名で核兵器廃絶のメッセージを発しました。また赤十字国際会議で採択された「人道団体のための気候環境憲章」に署名し、それに基づいて、気候変動の緩和と適応に対する取り組みを実施しています。

国内においても自然災害は頻発しています。昨年も大雨被害や台風被害において、災害義援金の募集と共に、医療救護班の派遣や救援物資の配布を行いました。皆さまからのご寄付や赤十字ボランティアのお力なしにこれらの活動は成し得ませんでした。またCOVID-19の脅威は低下したとはいえまだ厳しい状況下、全国の赤十字病院や血液センター、社会福祉施設は人々のいのちと健康、尊厳ある生活を守るために力を尽くしました。

3年後の2027年、日本赤十字社は創立150周年を迎えます。社会や経済、世界情勢の大きく変化する中で、赤十字の理念を実現し、継続していくためには、赤十字のあり方を常に見直していくことが必要であり、現在、その取り組みの一つとして、来年4月からの大阪・関西万博への出展準備も進めています。

2024年も皆さまと共に、国内外の人道危機に対応し、世界中に赤十字運動の輪を広げていく年にしたいと考えておりますので、引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。