こんなとき、どうする!? 水の事故の対処法 夏のレジャーシーズン。もしものときに覚えておきたいこと!

海や河川など、水辺でのレジャーに出かけることが多いこの季節。一方で、海や河川には危険が潜んでいます。
日赤では、水の事故から大切な命を守るため、「赤十字水上安全法」の講習を行っています。今回の特集では、講習でお伝えしている内容にも触れつつ、特に気をつけたいチェックポイントをご紹介します。


【 海編 】

【海の危険な場所】

風向きや風速、海底の状態によって波は変化します。水遊び前に天気予報の確認は必須です。天気が良くても波が高いときの水遊びは中止し、防波堤や桟橋を波が乗り越えることがあるので気をつけましょう。

【海での危険ポイント】

①波消しブロックなどには近づかない。
②ガラスのかけらや釣り針など、けがをしやすいごみに気をつける。
③潮(しお)の満ち引きで水の高さや流れも変わる。
④海底が急な斜面だと波が一気に大きく崩れる。急に巻きこまれると海底にたたきつけられる。
⑤岸から沖に向かう流れ。地形や波、風の向きや強さによってさまざまな形に変わり、つかまると沖に流される。
⑥波をかぶるのですべりやすい。
⑦川が海に合流するところ。流れが強く複雑になっている。

Q. 溺れている人を見つけた…どうする?

正しい対処法は、次のどれ?

①陸上から長い棒、タオルの端などを差し出してつかませる
②勇気を出して、すぐに飛び込んで助ける
③大きな声で周囲に知らせる


【正解はコチラ!】 ⇒ ①・③

周りに協力を求め、入水せずに距離をとって救助する

自ら入水して助けに行く行為は、溺れている人に抱きつかれて共倒れになるという、最悪のケースに至る場合も。なるべく水に入らずに救助し、入水する場合は抱きつかれない距離で救助するのが原則です。長い棒や衣服、タオルなど、溺れている人がつかまりやすい長いものを差し出しましょう。溺れている人を引き寄せることが難しい場合は、大きめ(2ℓぐらい)のペットボトルやクーラーボックスなど、浮き具の代わりになるものを渡して救助を待ちます

Q. 溺れた人を救出した…どうする?

正しい対処法は、次のどれ?

①うつ伏せで寝かせる
②声をかけ、反応を確認する
③保温する(必要に応じて加温する)


【正解はコチラ!】 ⇒ ②・③

まずは反応を確認し、反応がなければ至急119番通報とAEDを依頼

まずは話しかけて反応を確認し、呼吸がない、呼びかけに応えないなどの状態になっていたら至急119番通報をし、近くにいる人にAEDを依頼します。救急車到着までに胸骨圧迫と人工呼吸を続け、濡れた肌を拭いてAEDを使用します。反応があれば、仰向けか横向きで寝かせましょう。低体温症にならないよう、体を温めてあげることが大切です。毛布やバスタオル、なければ衣服などで全身を包んで、できるだけ風に当たらない状態を作り、観察します。


【 河川編 】


【河川の危険な場所】

河川は場所によって水流の速さが違い、複雑な流れや突然の増水などの危険があります。水遊びの際には必ずライフジャケットを着用しましょう。また、水際では苔などで足がすべり、落水する危険があるので注意が必要です。

【河川での危険ポイント】

①2つの流れが合わさるため、複雑な流れが起きる。
②立とうとすると足を取られる。また、流れが速いと止まることができなくなる。
③川底の大きな石などに流れがぶつかってできる。
④流れの中にある岩や橋脚の周りは複雑な水流があり、それらや倒木などに引っかかると水圧で動けなくなることも。
⑤川の流れを緩やかにする堰堤の下流側にはいろいろな流れが起きる。
⑥川の中で土や砂などが積もっているところ。上流の雨やダムの放水で急に水が増えると岸に戻れなくなる。
⑦草で周りがよく見えない場所は、すべって川に落ちることもある。

Q.ライフジャケットを着用して水遊び中に川で流されてしまった…どうする?


正しい対処法は、次のどれ?

①足を下流に向け、背泳ぎの体勢で足先を水面にまで持ち上げる
②頭を下流に向け、背泳ぎの体勢になる
③平泳ぎの体勢で、流れに身をまかせる


【正解はコチラ!】 ⇒ ①

足は下流に向ける。
ライフジャケットも正しく着用を

川遊びの際はライフジャケットを必ず着用し、水中で脱げないように正しく身につけましょう。川底に足がつくような水深でも、足をすべらせ、水圧で脱出困難な状態に陥ることがあります。流されたときは、足は下流に向け、足先を水面にまで持ち上げた背泳ぎの体勢をとりましょう。

ライフジャケットの正しい着用方法はこちら(参考)

Q. 川遊び中に、激しい雨が降り出した…どうする?

正しい対処法は、次のどれ?

①とりあえず中州に避難
②川から上がり、水辺で様子を見る
③急いで水辺から離れる


【正解はコチラ!】 ⇒ ③

気象や水面などの変化をはじめ、
現場の状況に気を配り、
早めに対処する

局所的な雨により、短い時間で急激に増水することがあります。普段は子どもも安心して遊べる穏やかな浅い川であっても、上流から水が集まることで水かさが増し、中州をのみこみ、水際にいる人や物まで流される状況に。離れた場所(川の上流)が悪天候、という場合も要注意です。

information

日赤では、緊急時や災害時に人命を救う方法や、健康で安全に暮らすための知識と技術を広めるため、各種講習を実施しています。
その中で、水の事故から大切な命を守るための知識と技術を学べるのが「赤十字水上安全法」講習です。詳しくはお住まいの地域の日赤支部にお問い合わせください。
また、日赤のWEBサイトでは動画解説も一部交えて水上安全法の基礎知識を学べる「赤十字WEBCROSS電子講習室」を公開しています。下記のリンクから視聴可能です。

information_02.jpg赤十字水上安全法講習で使用するハンドブック
(この冊子は「日赤サービス オンラインショップ」でも購入可能)

赤十字WEBCROSS電子講習室
「赤十字水上安全法」はこちら