【献血連載】命を救うための、"つなぎ役" 献血ハートフルストーリーvol.8

●今月のひと
福岡県赤十字血液センター
学術情報・供給課
原田 滉(はらだあきら)さん

私は病院で輸血する際に必要となる血液製剤の情報提供を担当しています。言ってみれば血液センターと病院の「つなぎ役」。具体的には、病院で持っている試薬では輸血を必要としている患者さんの血液型や「不規則抗体(赤血球に対する抗体のうちABO式血液型の抗A抗体、抗B抗体以外の抗体)」の有無が特定できないときに、血液センターで患者さんの血液を調べるためにお預かりし、病院に検査結果を提供するなどしています。
 血液型が判明しないというのは、特殊な血液型である場合もありますが、投与されている薬の影響で判別が難しくなっているケースも多いです。また、「不規則抗体」の検査は「溶血(ようけつ*)」などの副作用を防ぐために欠かせません。当センターでは、福岡や北九州地区を併せて約500の医療施設に対応していて、月に2、3件ほど血液型の検査の依頼があります。その他、まさに今対応している案件が、他県からドクターヘリで福岡に運ばれてくる患者さんの、心臓移植手術。大量の輸血を必要とするので、病院に出向いて手術内容について聞き取りをします。このように、血液製剤がどのくらい必要か、治療や手術計画のお手伝いをすることもあります。

 こんな専門的な業務を担当していますが、実は私は、医療とは無関係の大学出身。学生時代に東日本大震災で救護活動をする日赤の姿に感銘を受けて入職しました。最初の配属が福岡県内の赤十字病院、その後、現職に異動。正直、何年たっても学びと研鑽が続いています。最初は、血液製剤を必要とする人の多さと、安定した輸血を実現するための裏側の努力に驚きました。災害の救護活動でなくても、命を救うことに関わっている、と実感する日々です


*赤血球がこわれて、中身のヘモグロビンが外にでる現象

輸血に慣れていない医療従事者向けに、血液製剤のレクチャーを担当することも(左端が原田さん)

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