多文化共生事業 ~将来の希望を広げるためのキャリア教育支援~

 日本赤十字社愛知県支部は、知多市との包括連携協定の取り組みの一環として、多文化共生社会の実現に向けた協働事業を今年度から展開しています。
 3月13日(木)には、同事業の一環として、市内小中学校で外国人児童生徒の在籍数が最も多い知多市立つつじが丘小学校において、子どもたちが様々な職業の社会的役割や自己の生き方について考えるキャリア教育支援事業を実施しました。
 今回は、日本赤十字社愛知県支部がパートナーシップ協定を締結する名古屋グランパス通訳スタッフの佐々木トニーユタカさんが学校を訪問し、通訳という職業を紹介するとともに、文化の異なる国で通訳として活躍するまでのエピソードなどを話しながら、児童たちとの意見交換を行いました。

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 小学校5年生の時に日本に来日した佐々木トニーユタカさん。当時は周囲にブラジル人も少なく、不安を抱えていましたが、思った以上に周囲の日本人の児童たちが話しかけてくれたり、質問してくれたりコミュニケーションを取ってくれたことが、日本語を一生懸命学ぶきっかけになり、またコミュニケーションの大切さも同時に感じたそうです。
 現在は愛知県でも外国人住民が増えたことで、外国にルーツのある児童生徒だけのコミュニティが形成されてしまい、日本人の児童生徒とのコミュニケーションがきちんと図れているか懸念を持たれていました。
 
 こうした思いから、児童生徒たちにも改めて人と人とのコミュニケーションの重要性を伝えてくれました。
 「通訳という職業も、外国の言語だけ話せればいいというわけではなく、普段の人とのコミュニケーションがとても重要です。普段のコミュニケーションを通じて、その人の思いや考え、生活環境や文化などを理解したうえで通訳することを常に心掛けています。」と児童たちに話してくれました。
 
 また、小学生の頃からサッカー選手を夢見た佐々木トニーユタカさんですが、プロの選手になることは実現しなかったけれど、それでもスポーツ界で何か役に立ちたいという想いを持ち続け、現在の活躍に繋がったエピソードも話してくれました。

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 児童たちとの意見交換の時間には、「通訳という職業のやりがいは何ですか?」、「これまでに一番緊張した場面はどんな時ですか?」など、様々な質問が飛び交いました。

 最後に、今日の感想を聞かれた外国にルーツのある児童からは、「今日の話を聞いて、諦めないことが何よりも重要であることを学ぶことが出来ました。自分も今は陸上をやっていて、陸上選手を目指しているけど、たとえ選手になれなくても、そこで諦めるのではなく、誰かの役に立てる職業を目指したいと思います。」との言葉がありました。

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 これからも日本赤十字社愛知県支部では、多文化共生社会の実現に向けた取り組みを行政や企業団体と連携しながら続けていきます。