東日本大震災の災害救護活動
平成23 年3 月11 日(金)、未曽有の大災害となった東日本大震災の発生直後から日本赤十字社は、被災地での医療救護活動、毛布などの救援物資の配付、こころのケア活動、要介護高齢者への支援活動をはじめ、義援金の募集・受付、ボランティアによる被災者支援活動、仮設住宅への生活家電セットの寄贈など、緊急支援から復興まで、切れ目なく支援を行ってきました。
被災地では、徐々に復興に向かっておりますが、被災者の方々の健康面やとりわけ精神面での支援はますます必要となっています。
日本赤十字社は今後も、復興への歩みに寄り添い、支える活動を続けてまいります。
活動に必要な資金をお寄せいただいたすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。
※ 東日本大震災活動レポートはこちら(本社サイト)からご覧ください。
震災当初の宮城県支部の活動
医療救護
平成23年3月11日(金)14:46の東日本大震災発生直後、宮城県支部では直ちに「日本赤十字社宮城県支部東日本大震災災害救護実施対策本部」を設置し、災害救護活動にあたりました。しかし、沿岸部を中心とした想像を絶する甚大な被害状況下で、当支部自体も被災し、災害時の活動に必須である迅速かつ的確な情報収集及び関係機関との連携強化を図るため、翌日12日未明に県災害対策本部内に宮城県支部災害救護実施対策本部を移し、行政機関・自衛隊・警察・消防などと連携を保ちながら、日本赤十字社本社を通じて、全国の支部間で不足する救援物資の調達と配送、各支部の医療救護班の派遣調整を行いました。
一方、石巻赤十字病院では、発生直後院内に災害対策本部を設置し、トリアージエリアを開設して、殺到する傷病者の受け入れやこころのケア活動を開始しました。その後、石巻市・東松島市・女川町2市1町に渡る広範な地域にできた300箇所を超える避難所で、医療救護活動を偏りなく実施するため、同病院の医師で宮城県災害医療コーディネーターでもある石井正医師(現東北大学病院教授)が、「石巻圏の全ての人々へ医療を通じて衛生と健康、精神的安定を提供する」を基本理念として、日赤以外の災害医療チームも統括して一元的に医療救護活動を行う協働組織体「石巻圏合同救護チーム」を立ち上げました。
同チームの活動は、仮設住宅への入居などによる避難所の減少、地域医療の復興により徐々に縮小し、8月以降は当支部の医療救護班(仙台赤十字病院・石巻赤十字病院)のみの活動となりました。そして、9月29日(木)に石巻市雄勝町の仮設診療所が開所されるまでの間、雄勝町雄心苑の救護所と地域の巡回診療を行い、約7カ月におよぶ活動を終えました。
当支部への様々な支援のため、東北はもとより遠くは沖縄まで全国から駆けつけていただいた数多くの赤十字職員の方々、そして石巻圏合同救護チームの活動を長期間支えていただいた全国の医療関係者の方々には、心から深く感謝申し上げます。
※石巻圏合同救護チームの活動はこちら(石巻赤十字病院サイト)からご覧ください。
こころのケア
災害は、被害の深刻さや被災者自身の性格特性によって程度は異なりますが、多かれ少なかれ被災者にストレスを与えます。また、救護活動にあたる救護員も災害時の劣悪な状況下で任務を遂行することは容易ではなく、これに伴うストレスを受けます。赤十字のこころのケアは、ストレスを受けた被災者などの不安の軽減とストレスの緩和の働きかけを行い、急性ストレス障害(ASD)や外傷後ストレス障害(PTSD)などの深刻な障害に進まないように予防することを目的としています。
東日本大震災発生後、直ぐに石巻赤十字病院では、早くから医療救護活動と一緒にこころのケアが行われ、石巻圏合同救護チーム内に「こころのケアセンター」が設置されました。当初は、他県支部から派遣される医療救護班の一員として、こころのケア指導員が帯同し活動していましたが、その後、こころのケア単独チームが派遣され、各避難所を巡回しながら活動しました。
平成23年10月平成28年12月まで、毎月第二・第四土曜日に多賀城市の仮設住宅で「赤十字の心と体のホットケア」として、こころのケア活動を実施しました。
災害救援物資配布
東日本大震災発生当日から、各避難所に対し、毛布や緊急セットなどを搬送しました。しかし、あまりの被害の大きさに備蓄していた救援物資では到底足りず、県と連携しながら避難所などで必要な数量を市町村を通じて調査し、全国の支部で備蓄している救援物資を避難所などへ直接配送するよう手配しました。
防災ボランティア
日本赤十字社宮城県支部が行う災害救護活動の支援のため、発災の3日後に「宮城県支部赤十字防災ボランティアセンター」を設置しました。宮城県内の防災ボランティアリーダーの大友明夫氏にセンター長をお願いし、他県の防災ボランティアリーダーの協力のもと、宮城県の「宮城県災害ボランティアセンター」や各市町村の「災害ボランティアセンター」と連携し、被災地のニーズに合わせた活動を行いました。
さらには、気仙沼市にも拠点を設け、気仙沼地域でボランティア活動を行い、3ヶ月半に渡り延べ2,459人のボランティアが、被災地で受け入れた多数の救援物資の仕分け作業、住宅や店舗などに入り込んだ泥かき作業などの活動を精力的に行いました。
各支部から派遣され、宮城県支部赤十字防災ボランティアセンターのもとで、ご活躍された赤十字ボランティアの方々には、心から深く御礼申し上げます。
海外救援金による復興支援事業
海外の100を超える国や地域の赤十字社・赤新月社などから寄せられた救援金は1千億円を超えます(クウェート政府からの原油500万バレル含む)。日本赤十字社はこの救援金を被災地の復興支援に充当することとし、生活再建、医療、原子力発電所事故対応などを重点分野に定め復興支援事業を実施しました。
復興支援事業の詳細はこちら(本社サイト)からご覧ください。