日本赤十字社は国際赤十字・赤新月社連盟からの要請を受け、連盟が調整し支援する事業に国際要員を派遣しています。
事業の内容は、緊急時と平時の活動に分けられます。
大規模な自然災害や人的災害では、まず、アセスメントや急性期対応のため、必要とされる専門家を「緊急対応(Rapid Response)要員」として派遣します。
その後、現場の人道ニーズに応えて、「緊急対応ユニット(Emergency Response Unit)」を発動し、国際要員を派遣します。
一方、平時には、各国赤十字社・赤新月社や青少年、ボランティアのキャパシティ向上、防災や保健医療などの活動を支援するために、連盟のジュネーブ本部や地域事務所、事業現場へ国際要員を派遣しています。
緊急時
緊急対応(Rapid Response)要員
自然災害などの発生直後、連盟の派遣要請を受けて、日本赤十字社は特定の知見を備える国際要員を、速やかに現地へ派遣します。日本赤十字社が各専門分野における関連研修を修了した国際要員を連盟に推薦し、連盟が個々人の能力や実績にもとづいて緊急対応要員としてあらかじめ登録しておくことで、緊急時に指名で要請されるものです。災害対応や保健分野のほかにも、緊急の人道課題に応じられる多様な分野での国際要員の派遣があります。
連盟ERU
連盟は自然災害などが発生した地域でまずアセスメントを行ない、その上で現地だけでは対応ができないほど人道ニーズが高まっていることがわかった場合、日本赤十字社に出動を要請します。こうした要請に応え、すぐに医療活動を展開できるよう、日本赤十字社ではいつでも資機材を備え、研修既修者を国際要員として登録しています。
なお、日本赤十字社では「診療所ERU」と「病院ERU」の2種類の資機材を保有しているほか、日本赤十字社が発動するERUに他の赤十字社・赤新月社から人員の協力を得ることもあります。直近では、2017年にバングラデシュで診療所ERUを発動しました。
「生きてほしい」~バングラデシュに流入する避難民に医療支援を~
2017年9月、バングラデシュのコックスバザールでERUを発動した際の、第一班の現地入りや活動の様子です。
- マネジメント
チームリーダー、安全管理、事務管理、広報などの役割を担う。
主な対象職種:総合職、医療職など。
- ロジスティクス、技術要員
被災地でERUの活動を展開するために必要な大量の資機材を移送し、安定して機能させるために欠かせないのがロジスティクスと技術要員です。発電システムや医療機材、IT 機器のセットアップ、車両管理、整地、給水などを担います。
主な対象職種:総合職、臨床工学技士など。
- 医師
主な対象職種:内科、小児科、外科、整形外科、産婦人科、麻酔科などの医師。
- 看護師、助産師、保健師
主な対象職種:外来、病棟、手術室などの看護師、助産師、保健師。
- その他コメディカル
主な対象職種:薬剤師、診療放射線技師、理学療法士、臨床検査技師など。
- 心理社会的支援(PSS)要員
連盟のPSS研修を修了した国際要員が被災した個人や集団を対象とした「こころのケア」を行ないます。
主な対象職種:総合職、医療職など。
平時
緊急時以外にも、連盟に国際要員を派遣しています。
- ジュネーブ本部、地域事務所
これまでジュネーブ本部やアジア大洋州、アフリカ、中東・北アフリカなどの地域事務所に国際要員を派遣してきました。主な派遣先の部署は、災害対応部門や保健部門、ロジスティクス部門、ファンドレイジング部門、青少年活動部門など多岐にわたります。
- 事業地
赤十字社・赤新月社が行なう防災や地域保健の取り組みに助言、指導を行ない、支援します。