緊急救援×サプライチェーン

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ロジスティクス 寺尾 のぞみ
最新の派遣先:マレーシア(連盟) 


プロフィール紹介
兵庫県生まれ。日本赤十字社和歌山医療センター所属。
派遣歴:マレーシア(2020、2022)

国際要員を目指したきっかけ

中学生時代から国連児童基金(UNICEF)の活動などに興味はありましたが、本格的に海外支援に携わりたいと思ったのは、高校2年生時に読んだ森沢典子著「パレスチナが見たい」という本がきっかけです。その後、海外支援に携われる仕事は何かを色々調べるうちに、国益や見返りを求めない支援をしている、そして世界192カ国に赤十字・赤新月社がある赤十字で国際救援活動がしたいと思うようになりました。

国際要員として登録されるまでの道のり

物流会社で2年間勤務した後、ご縁を頂き日赤和歌山医療センターへ転職。地元出身ではないことが珍しいのか、多くの同僚に「なぜ和歌山医療センターに来たの?」と聞かれました。「日赤の国際医療救援・赤十字の人道支援活動に参加したい、そして和歌山医療センターは日赤の国際活動の拠点病院だから!」とアピールを繰返し、院内の報告会等には積極的に参加し顔を覚えてもらえるように心掛けました。国際医療救援拠点病院(1)ということもあり、ありがたいことに研修への参加や海外派遣には上司の理解が得やすい環境でした。

国際要員を目指すにあたり特別なことをした記憶はありませんが、海外に派遣された先輩方の多くが「国際要員として大事なのは、日常業務をきちんと頑張れる人」と話していたのをよく覚えています。日常業務は国際救援活動に関係なくとも、「今の仕事に向き合い、精一杯頑張ること」を意識しています。

現地での活動のやりがいは?

2020年にロジスティクス研修生として3か月、そして2022年にはプロキュアメント(調達)要員としてマレーシアの連盟地域事務所に派遣されました。

世界各国から同じ志を持った赤十字の職員が一つのオフィスに集まり、中立・公平といった赤十字の原則に基づいて支援を必要としている被災者の方々へ一刻も早く支援・サービスを届け、サポートするという1つのベクトルに皆が向かっていることを非常に強く感じました。ロジスティクス・プロキュアメントは「サービスプロバイダー」として役割があり、プロジェクトやオペレーションのニーズに基づいてモノ・サービスを調達・提供します。短期間で急なニーズに応えることが出来た時は、「オペレーションに良いサポートが出来た=被災者の方へタイムリーな支援が出来た」とやりがいを感じています。一方で、コロナ禍以降のサプライチェーンの乱れや海上・航空運賃の高騰や船舶のスペース確保の難しさ、被災国での輸入規制等の外部要因により、希望通りの予算や期間内での調達活動が難しいというのが現状です。そのため、他部署とのコミュニケーション・情報共有は重要であり、日々連携を取りながら業務に当たっています。

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パキスタン洪水支援に対する日赤からの支援物資積込みの立ち合い(マレーシア空港)©日本赤十字社

今後の目標

現在日赤では保健型と病院型の2つのERU2)を所持しており、特に病院型ERUでは活動を展開するためにより多くの物資輸送や現地調達が必要になります。そのため連盟地域事務所で学んだ事を少しでも日赤の国際活動にも還元していくこと、また、ロジスティクス要員として海外派遣され、実地経験を積んでいくことが直近の目標です。

最後にひとこと

国際要員になるまでの道のりは遠く、また国際要員に登録されてもなかなか実際に派遣される機会が多いとは言えません。時にはモチベーションを保つのが難しい時期も私自身ありましたが、研修への参加や同じ志をもつ仲間と話すことで刺激と励ましを幾度となくもらいました。人とのつながりを大事に、あきらめずにトライし続けてください。

※1 国際医療救援活動拠点病院:日本赤十字社は全国の赤十字施設から国際要員の海外派遣を行っています。こうした国際医療救援活動での知見や経験を蓄積しながら国際要員を育成していくために、5つの赤十字病院が「国際医療救援拠点病院」として、勉強会の開催や情報発信を行っています。

※2 ERU(Emergency Response Unit,緊急対応ユニット):大規模な自然災害等が発生した際、医療や給水衛生活動等が開始できるように専門家と資機材をセットにしたチーム

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