紛争・難民×医師
医師 春日 摩耶
最新の派遣先:レバノン(二国間)
プロフィール紹介
兵庫県出身。日本赤十字社和歌山医療センター所属。
派遣歴:レバノン(2023)
国際要員を目指したきっかけ
元々父親の仕事の関係で年少期に海外に一時期住んでいたこともあり、海外での仕事には少し興味はありました。学生時代は国際医療NGOに参加して、医学生としてミャンマーでの手術の補佐を1週間行ったことがあります。社会人になってからは産婦人科医としてのキャリアに集中していたので、海外派遣にはそこまで関心はありませんでした。そのようななか1年ほど前、所属する科の部長より「産婦人科医の国際要員を募集しているけどどうか?」と声をかけてもらったのがきっかけです。
国際要員として登録、派遣後の関わり
英語を海外旅行以外で使う機会がなかったので、英語のニュースを聞いたりして語学力を向上させようとしました。また、海外の紛争関係のニュースにも目を配るようにしました。派遣前に研修がいくつかあり、職場を休むことが多かったですが、上司や後輩たちの理解があり、進んで自分の不在期間の業務を引き受けてくださったのがとてもありがたかったです。改めて素敵な同僚と働けていることを再認識できる機会となりました。
現地での活動のやりがいは?
今回のレバノンへの派遣は初めての海外派遣だったので、仕事の進め方や現地の方がたとの交流の仕方・距離の取り方に戸惑うことはありました。今回は私自身が患者さんを診療するのではなく、パレスチナ難民キャンプのベテラン医師たちへ新たなツールとしての超音波検査の指導をする任務だったので、モチベーションを上げてもらうことも難しかったです。しかし、現地スタッフたちは明るく気さくに話しかけてくれるので、一緒に話をしていて医学だけでなく、宗教や政治体制などについても学ぶことが多かったです。自分自身があまり役に立っていないのではないかと感じることもありましたが、現地スタッフたちが「来てくれたことは、こちらにとってすごくありがたいこと」と感謝の気持ちを声にしてくれたのは心強く、嬉しかったです。
現地の泌尿器科医が研修医にエコー指導しているのを日赤医師で見守る様子
今後の目標
今回は普段の産婦人科医としての業務はほとんどなかったので、今後はERU(※)などを通して産婦人科医としての経験を活かした派遣を経験したいです。他方で、今回は産婦人科以外の業務を行うことで、医師本来としての救援活動へ原点回帰できたので、今後も産婦人科以外の技術も磨けたらなと思っています。
最後にひとこと
海外派遣に行くには、まずは職場の理解が欠かせないです。日頃の勤務態度、そして同僚への感謝の気持ちを持つことが大切だと思います。また、海外派遣というと華々しいイメージが強いですが、今回もそうではありませんでしたし、実際違うことが多いようです。地道な作業が多いので、「派手に活躍したい!」という気持ちを持つよりは、「事業の一環として与えられた任務を全うしよう、それが次の人へのバトンになり、いつか結果が実るはず」という意気込みで参加することが、今後自身が活動を継続するモチベーションにつながるように思っています。
※(Emergency Response Unit、緊急対応ユニット):大規模な自然災害等が発生した際、医療や給水衛生活動等が開始できるように専門家と資機材をセットにしたチーム |