国際赤十字・赤新月社連盟事務総長が声明発表:地中海での移民・難民の死は「受け入れ難い悲劇」
ヨーロッパに向かって危険な海上路を渡る移民・難民が再び増加している中、国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)は移動するこれら人びとの命の安全と尊厳を守るための緊急行動を呼びかけています。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、リビアとイタリア間の海洋でこの一週間に別々に発生した3件の事故により700人以上が溺死したとされています。この死亡者数は、過去一年間に移民の地中海ルートで起きた最悪のものです。今後も、気候がよくなるにつれ地中海が穏やかになることから、ヨーロッパに安住の地を目指す人の数はさらに増加すると予想されています。
連盟のエルハジ・アズ・シィ事務総長は、5月30日、「この受け入れ難い悲劇は、世界が移住危機に対応するに際し、人道的価値観を共有して当たらなければならないことを再度思い出させるものです」との声明を発表しました。
すべての移民・難民に、安全と尊厳を得る権利がある
「人びとは毎日、自らの命を危険にさらしながら安全と希望を求めています。いかなる解決策も、彼らが故郷を離れるという困難な決断に追いやられた要因に取り組むものでなければなりません。紛争、政情不安、貧困や迫害は世界中の多くの地域で蔓延しています。より良い安全な生活を希求しての旅は、地中海を広大な墓地に変えてしまっているのです」「我々は、世界の指導者たちへ安らぎの地を求めている人びとに安全なルートを提供するよう訴えます。全政府と関係機関へ、移民の保護を担保するよう訴えます。また、すべての人、移民に、安全と尊厳を得る権利があることを認めるよう求めます」「引き続き我々の助けを必要とする人びとへの支援を継続します」とアズ・シィ事務総長は続けます。
移民・難民に対する赤十字の対応
移動する経路の各所に、各国赤十字・赤新月社は、緊急に必要とされる食糧、避難所、保健衛生サービスを提供しています。地中海を渡る移民・難民が多く漂着するイタリアでは、赤十字社が全ての港に医師、看護師、通訳を常駐させています。また、移動の際に離れ離れになってしまった家族と連絡を取れるようにするサービスも提供しています。さらには、亡くなった人びとに対して尊厳と敬意をもって対処することも行います。
日本赤十字社は難民キャンプへの医療支援を展開
海を渡りヨーロッパに辿り着いた移民・難民を支援するため、日本赤十字社は今年3月からギリシャ北部に設置された難民キャンプで医療活動を行っています。国際赤十字の混成医療チームの一員として、これまでに医師2人、助産師1人が現地で活動し、主にシリアやイラクから逃れてきた人びとの支援を続けています。
※帰国した日赤助産師の報告会が開催されます(下記参照)
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