【速報8】ウクライナ危機:ウクライナ国内で活動を拡大する赤十字

ウクライナでの戦闘が激化して1か月以上。依然として戦闘の真っ只中にあるウクライナでは、人びとの命と安全が脅かされる日々が続いています。これまで420万人以上の人びとが国外へ避難し、約650万人の人びとがウクライナ国内で避難民となっています。

人びとに必要な支援を届けたい---その一心で、国際赤十字はウクライナ国内、ウクライナの周辺国、そして避難した人びとがいる第三国において活動を継続しています。

特にウクライナ国内での活動においては、支援する側の安全確保も必要不可欠です。赤十字は、職員・ボランティアの安全確保を最優先にしながら、ウクライナ国内での活動を拡大しています。

今、ICRC広報担当官が伝えたいウクライナの現状

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ホテルの地下で現状を語るトーマス広報担当官(提供:ICRC)

赤十字国際委員会(ICRC)のトーマス・グラス広報担当官は、戦闘が拡大する中、ウクライナに緊急派遣された職員の1人です。空襲のサイレンのはざまで、現地の状況について次のように語りました。

「私はルーマニアから陸路でウクライナに入国しました。国境で最初に目にするのは、出国しようとするウクライナ人の非常に長い列。そのほとんどが、子どもや幼い子どもを連れた母親たちです。私にもまだ2歳にもならない小さな子どもが家にいるのですが、この光景を目の当たりにして、胸が張り裂けるような思いになりました。痛いほど寒い中で、女性や子どもたちが何時間も長い列を作って待っているのです。

国内で避難生活を送っている何百万もの人びとの現状についてもここで強調したいと思っています。ドニプロ駅は、ウクライナ全土から何千人もの国内避難民が集まる拠点となっています。戦闘から逃れた人びとがドニプロに到着するのは、この街に定住するためでも、さらに安全な場所を求めて移動するためでもあります。列車を待ち、駅で一夜を過ごす人びとは毎日2000人以上、別の場所からの列車がある場合は6000-8000人にのぼります。

ICRCとウクライナ赤十字社は、駅や隣接する大型ショッピングモールで、紙皿やカップ、パン、お茶などの食料や、石鹸、トイレットペーパー、おむつなどの衛生用品、就寝用のベッドマットなどを提供しています。

何百万もの人びと----その中には、女性、子ども、高齢者、慢性疾患の方、などがいます---が、2月24日以降全く変わってしまった世界の中で生きています。それがいかに緊迫した状態であるかということを、再度皆さんにお伝えしたいのです」

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ドニプロ駅のショッピングモールにベッドマットを運ぶICRC・ウクライナ赤十字社スタッフ©ICRC

「私たちを家族のように迎え入れてくれた赤十字ボランティア」

赤十字は、ドニプロなど、国内で避難民となった人びとが集まる地域でも活動を継続・拡大しています。

カリーナさんは、ハルキウ(ハリコフ)からスロバキア国境に近いウジホロドの街に避難してきました。

「私たちはすべてを失いました。3歳の息子と、足を骨折した母を連れて、紛争から逃れるためにここに来ました。夫は紛争が始まってから戦地に行ってしまいました。避難したこの町には誰も知り合いがいません。孤独で、服も食べ物も何もなく、とても恐ろしかったですが、赤十字ボランティアの皆さんが私たちを家族のように迎え入れてくれました。私の息子は赤十字ボランティアのサーシャさんがとても好きみたいで、いつも一緒に遊んでいます」

カリーナさんにとって、赤十字ボランティアの存在が避難先で過ごす支えになっています。

カリーナさんの動画は↓よりご覧いただけます。

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赤十字ボランティアのサーシャさんと遊ぶカリーナさんの息子©IFRC Marco Kokik

赤十字ボランティアの中には、自身も国内避難民であったり、家族と離ればなれになりながらも、支援活動に携わっている人びともいます。

ヴィタリさんは、最近ウクライナ赤十字社のボランティアになりました。ザホリージャ出身です。「まず、私の家族をポーランドに避難させ、私はこの地にボランティアとして戻ってきました。今は、人びとが安全に避難できるよう、避難の誘導をしています」

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避難誘導のボランティアをするヴィタリさん©IFRC

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自身も避難してきた赤十字ボランティアのアジアさんとお手伝いするカサンドラちゃん©IFRC Marco Kokik

アジアさんは、2015年から赤十字のボランティアをしています。ハルキウ(ハリコフ)出身で、3週間前にウジホロドに避難してきました。現在はウジホロド支部で、寄付物資を必要な家族に配るための仕分け作業をしています。

この地域では現在学校が閉鎖されているので、近所に住む9歳のカサンドラちゃんもよくお手伝いに来てくれます。カサンドラちゃんはアジアさんの姿を見て、「私も赤十字のボランティアになりたいし、お手伝いしたいです。この町のことは知っているから、どこに何を配ればいいかわかります」と話しました。

ウクライナ赤十字社のマクシム・ドツェンコ事務総長はこう語ります。「私たちの職員やボランティアの多くが紛争を直接体験しています。彼らは自身の家族の身の安全を心配しながらも、赤十字のベストを着て、隣人や見知らぬ人に大切な支援を届け続けています。これこそ、赤十字の基本であるボランティア精神の真髄です」

紛争から1か月以上。私たち赤十字は、皆さまからのご支援のおかげで、人道危機の影響を受けている人びとを支援するための活動が継続できています。改めて感謝申し上げます。
引き続き、赤十字の活動にご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

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「ウクライナ人道危機救援金」

受付期間: 2022年3月2日(水)~2022年5月31日(火)

使途  : 国際赤十字・赤新月社連盟、赤十字国際委員会、および各国赤十字・赤新月社が実施する、ウクライナでの人道危機対応及びウクライナからの避難民を受け入れる周辺国とその他の国々における救援活動を支援するために使われます。