アフガニスタン-長期化する人道危機

 2022年、ウクライナでの紛争をはじめ、世界各地で紛争や災害による痛ましいニュースが報じられています。その一方で、長期化・硬直化する人道危機の中には、日々の報道の中で新たな注目に取って代わられ、徐々に人びとの関心が薄れ、忘れ去られていくものがあることも事実です。
 
 アフガニスタンで昨年8月に起こった政変は、日本でも大きく報道され、多くの注目を集めました。政変後、現地の治安は一定の落ち着きをみせているものの、政変以前から続く干ばつと、国際社会による支援の見合わせによって、アフガニスタンの人びとが直面する状況は深刻化の一途を辿っています。国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)アフガニスタン事務所の職員、ヌル・ハヤティ・アフメドさんは、アフガニスタンの人道支援ニーズがいまだかつてないほど高まっていることを訴えています。

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長引く干ばつと深刻化する食料危機

 人口の7割が農村部で暮らし、そのうち8割が農業に生計を頼るアフガニスタンにおいて、近年の気候変動の影響は計り知れません。特に昨年から続く干ばつによって、大地は干上がり、水不足が深刻化しています。同国のおよそ半分近くの農地で作物を作れない状況が続いており、冬場に種まきができないことは、春以降のさらなる食料不足を意味します。加えて、冬季の降雪量の減少は、春以降の雪解け水を利用する農業に大きな影響を及ぼします。国連世界食糧計画(WFP)によると、全国34州のうち27州で急性栄養不良の状況が緊急事態の基準値を上回っており、人口の95%が日々十分な食料を手にしていないこと、今後12カ月間で5歳未満の子どもの約半数が命に関わる栄養不良に陥る可能性があるなど、迅速かつ継続的な支援の必要性が叫ばれています。

 この緊急事態に対してアフガニスタン赤新月社(以下、アフガン赤)及び連盟は、厳冬期の3か月(202111月~2022年1月)の期間に、特に支援が必要な18州の25,200世帯(およそ176,400人)を対象に、食料や衛生用品を提供し、防寒具などの越冬用品の配付も行いました(厳冬期の活動の様子はこちら)。さらに、複合的な課題に対応するため、遠隔地への移動型医療チームの派遣、新型コロナウイルス感染症への対応(啓発活動から検査、陽性患者への治療)、地域保健活動の実施(応急処置方法や清潔な水での手洗い習慣の普及など)、学校における安全な飲み水の提供など、変化する人道ニーズに応じて包括的な支援を実施しています。

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食料支援に向けて、農村部で暮らす人びとに聞き取り調査を行うアフガン赤©︎IFRC

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        食料配付の様子©︎ARCS

長期化する困難の中で生きる人々に、継続的な支援を

 日本赤十字社は、同国「国家緊急事態宣言」が発出されるほど深刻な干ばつを受けて、2021年9月までに連盟を通じて1,000万円の資金拠出を行いました。加えて、政変に伴う人道支援ニーズの拡大を受けて同月に開設した「アフガニスタン人道危機救援金」に、皆さまから温かいご支援をお寄せいただき、この度、2,000万円の追加支援を行うことができました。心より御礼申し上げます。
 
 医療従事者を含む2千人のスタッフと3万人のボランティアによって、国土全域に支援ネットワークを持ち、支援が届きにくいとされる地域にも活動を展開するアフガン赤。長期化する困難の中で生きるアフガニスタンの人びとに継続的な支援を届けることができるよう、これからも赤十字は活動を続けます。引き続き、皆さまからの温かいご支援をお願いいたします。

募集期間を延長して受付中です。皆さまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。
募集期間:~2023年3月31日(金)

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