100年以上の歴史をもつ 世界最古の国際人道基金「昭憲皇太后基金」の配分決定 ~約5,338万円を13カ国に~

 赤十字国際委員会と国際赤十字・赤新月社連盟で構成される昭憲皇太后基金合同管理委員会により、世界最古の国際人道基金※1である「昭憲皇太后基金」の102回目となる配分先が発表されました。

 今回は、13カ国の赤十字・赤新月社に対して総額5,338万円相当(367,182スイスフラン※2)が配分されます。

 同基金の配分額は、第1回の1921年(大正10年)から102年間で、累計23億円相当(15,939,535スイスフラン※2)に換算され、配分先は171の国と地域にのぼります。

※1 昭憲皇太后基金は平時の国際支援を目的とした世界初の国際人道基金であり、現在も当時と同様の形で
   支援が継続している最古のものである(日本赤十字社調べ)
※2 1スイスフラン=145.366円(令和5年4月5日レート)

これまでの支援のようす

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昭憲皇太后基金(The Empress Shôken Fund)とは?

 昭憲皇太后(明治天皇の皇后)が、1912年(明治45年)の赤十字国際会議に際し、各国赤十字社の平時事業にと、ご寄付された10万円(現在の35千万円相当)を基に創設されました。

 当時、戦時救護を主に行っていた赤十字において、自然災害や疾病予防等の平時活動を奨励するための基金設立は画期的なことであり、世界の国際開発援助の先駆けとなりました。現在では、100年以上継続している平時における人道活動を対象とした世界最古の国際人道基金※1として世界で広く知られています。

 同基金は、国際赤十字の中に設けられた合同管理委員会によって運営され、日本の皇室をはじめとする日本からの寄付金によって支えられており、原資を切り崩すことなく、そこから得られる利子が世界の赤十字社の活動に配分されます。

 毎年、昭憲皇太后のご命日にあたる411日頃に配分先が発表されます。

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昭憲皇太后

◆◇◆◇ 第102回 昭憲皇太后基金支援事業 ◆◇◆◇

1. パイロットプロジェクト

(1)ホンジュラス赤十字社(アメリカ地域):約436万円(30,000スイスフラン)                                  ボランティア体制の強化                                                       ボランティアが開発し、主導していく事業を支援する基金を設立します。基金を通じてホンジュラス赤十字社と地域のつながりを強化します。

(2)ウルグアイ赤十字社(アメリカ地域):約436万円(30,000スイスフラン)                                   メンタルヘルス支援                                                                 学校内でメンタルヘルスの支援にかかる体制強化のための研修や、青少年グループの結成を通し、青少年のメンタルヘルスの向上および学習機会を提供します。

(3)インドネシア赤十字社(アジア大洋州地域):約179万円(12,322スイスフラン)                                地域に対する気候変動および食糧安全保障問題の啓発                                          地域学習センターを改修して、地域住民とより強化な関係性を構築しながら、気候変動や食糧安全保障にかかる啓発活動を行います。

2. 気候変動

(1)ベルギー赤十字社(ヨーロッパ地域):約430万円(29,600スイスフラン)                                           気候変動について学べるデジタルコンテンツの作成                                            デジタルコンテンツを作成し、洪水の被害を受けた若者が気候変動に対する感情を表現し、共有できるよう支援します。

(2)ブルンジ赤十字社(アフリカ地域):約436万円(29,986スイスフラン)                                               青少年ボランティア主導の気候変動対策                                                          気候変動に対し若者が主導して、植林や都市廃棄物管理の改善に取り組みます。この取り組みは、児童労働を減らし、学習機会の増強にも寄与します。

(3)パラグアイ赤十字社(アメリカ地域):約353万円(24,300スイスフラン)                                              モバイルアプリを通じた洪水警報システムの開発                                                        7つの地域で洪水対策として、早期警報システムとなるモバイルアプリを開発し、地域住民の防災教育を行います。

3. 防災

(1)エスティワニ赤十字社(アフリカ地域):約509万円(35,000スイスフラン)                                         緊急災害時にリアルタイムで情報共有できるモバイルアプリの開発                                                  緊急災害時の意思決定が効果的になされるよう、モバイルアプリを開発し、アプリ上で情報を管理することによって、被災した地域住民も情報にアクセスできる環境を整えます。

(2)タイ赤十字社(アジア大洋州地域):約436万円(30,000スイスフラン)                                            バーチャルリアリティ(VR)を用いた防災訓練                                                      VRを用いて子どもや若者に防災訓練の機会を提供し、地震を中心とした防災教育を実施します。

(3)スーダン赤新月社(アフリカ地域):約436万円(30,000スイスフラン)                                                脆弱な女性の自立支援                                                                  洪水の被害を受けた女性が事業を開始できるよう生計等の支援をすることによって、現状の危機からの長期的な復興状況を構築するとともに、災害に対するレジリエンスを強化します。

4. 保健医療

(1)ギニア赤十字社(アフリカ地域):約436万円(30,000スイスフラン)                                                モバイルアプリを通じた母子健康保健の質の向上                                                       出産による母子の死亡率を低下させるため、基礎的な産科救急および新生児ケアの質の向上を図るモバイルアプリの開発を行います。

5. 青少年

(1)アルバニア赤十字社(ヨーロッパ地域):約378万円(25,974スイスフラン)                                            人身売買への対処                                                                 人身売買の防止に役立つ研修を職員・ボランティアに実施し、高校での予防活動を行うことで人身売買の脅威に対処します。

(2)フィジー赤十字社(アジア大洋州地域):約436万円(30,000スイスフラン)                                           ボランティアプログラムの見直しおよびデジタル化                                                       現在のボランティアプログラムを見直してデジタル化することで学習機会を増やし、ボランティアの管理と費用対効果の向上を目指します。

(3)シリア赤新月社(中東地域):約436万円(30,000スイスフラン)                                                Eラーニングプラットフォームの構築                                                              支部強化を目的として、スタッフ、ボランティアがいつでも自由にオンラインで研修を受けられる環境を整備します。

 これからも昭憲皇太后基金は、国際赤十字運動全体に利益をもたらす知見を生み出す可能性のある、新しくイノベーティブな活動を引き続き奨励していきます。

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